プロの厳しさ

このブログがスタートした頃から「プロ=職業」ということを強調してきました。私は常に「プロもアマもそれ以前にゴルファー」という事を考えます。ゴルファーこそがプロとアマの選択権を与えられると思っています。ゴルファーでなければプロは「ゴルフでお金儲け」、アマは「ゴルフは遊び」と言っても過言ではないと思います。つまりどちらも「ゴルファーになる」ということが前提です。

その上で「プロ=職業」という部分はゴルフ以外にも存在します。プロフェッショナルとはあらゆるジャンルに存在するからです。

5年前に「練習と職業訓練」という記事を書きました。ここには「常に自分の職業を意識した取り組み」というものでパイロットや競馬の騎手の訓練の姿を書きました。

練習と職業訓練

プロが職業である以上、その厳しさを自覚しなければなりません。逆に言えば「その厳しさと向き合う強さ」がプロの資質だと思います。

例えばパイロットには安全に飛行機を運行する責任があり、その責任を遂行するために厳しいパイロット試験や定期航空機運行免許取得をします。

例えば医師は厳しい「医師免許試験」に合格しなければ医療行為は許されませんから、医大で勉強して医師免許取得を目指します。

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ケアレスミスも許されない職業には「プロフェッショナル意識」が存在する

なぜ、そんなに厳しいのでしょうか?理由は簡単ですパイロットも医師も「人の命を預かる職業」だからです。人の命を預かる以上「ケアレスミス」は許されません。だからパイロットは免許取得後も日々が訓練となるし、医師は免許取得後も研究や学会を怠ることが許されないのです。それでも事故は起こり、懸命の治療及ばす人は命を落とすのが現実です。だから彼らは絶対にヒューマンエラー(人為的なミス)だけは起こすまいと自分を厳しく律し、日々研究や訓練を繰り返すのです。私はこういった職業に取り組む人たちを「本当のプロフェッショナル」と思っています。

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ヒューマンエラー(人為的ミス)をなくす努力がプロの訓練

ゴルフはミスの繰り返しのスポーツです。そのミスを受け入れ、次につながるように取り組む前向きな気持ちは大切です。反面「ケアレスミスは絶対しない」という厳しい気持ちでボールと向き合えるかどうかということも重要だと思います。

もしも1mパットを外すことがケアレスミスと思うなら「1mのパターは1000回打っても外さない」という厳しさを意識する必要があるでしょう。もしかしたら1万回、10万回かもしれません。パイロットなら事故率0.1%の飛行機に安心して乗ることはできないし、1%の確率で医療ミスをする医師の出術を受ける患者はいないと思います。もちろん「絶対ない」とは言えませんが「絶対無くす」という姿勢こそがプロフェッショナルの姿です。だから日々の訓練や研究があるのです。だから進歩するのです。

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あのトッププロの練習はまさにケアレスミスをなくすための「プロフェッショナル」の訓練だった

そしてプロの仕事は「準備」です。パイロットはフライトプランという飛行計画や準備をおこない。医師はオペレーションプランという手術計画や準備をおこないます。さらに彼らはブリーフィリングという直前にメンタル面まで考慮した準備までするのです。全ては「ケアレスミス」や「ヒューマンエラー」をなくすために最善の努力をしているのです。

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結果だけ見れば「天才」はいるかもしれない。しかしそれが通用しないのはプロの世界

確かにゴルフに限らずスポーツの世界には、他人より少ない努力で大きな成果を出してしまう「天才」と呼ばれる存在がいるのは確かです。しかし、上記のような業種を見れば分かるように「天才」が通用しないことが「本物のプロフェッショナル」の世界なのです。ゴルフ世界にもジュニアや幼少時代に「天才」といわれながら成功どころかゴルフすら続けていないケースも少なくありません。ここには「ゴルフの才能はあったが、プロの才能がなかった」という見解は決して乱暴ではないと思うのです。

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全ては「不安」から生まれる「準備」という努力こそが「プロの仕事」なのかもしれない

プロに自信など必要ありません。プロに必要なのは「もしかしたら最後まで完璧にできないかもしれない」という不安と向き合いながら「それでもケアレスミスを無くす」という努力と日々の必死さだと思うのです。プロゴルファーになるのなら「この世にはプロゴルファーよりもはるかに厳しく、ストイックな職業がある」ということを知った上で取り組めば怖いものなど何もないかもしれませんね(笑)



ウィンターキャンプ in タイランド 2018 総括(1)

今年も1/15~2/3の約3週間18日の強化日程でおこなったタイキャンプを総括として振り返ってみました。前回までは「完全管理」という形でおこなっていましたが、今回は一部自主性を持たせることにしました。というのも約半数が高校3年生で4月以降はプロテストやQTを目指すことになるので日常的な自主管理や課題設定、練習方法のスキルを身に付けるということをコンセプトに盛り込む狙いもありました。

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前回以上に濃い内容を目指して準備してきました

特に練習に関しては毎年キャンプで共に練習している「あのトッププロ」がいますからプロとしての練習もそうですが自己管理や生活ぶりも垣間見ることができるからです。他にも例年とは比較にならないほどの強化イベントを準備してのキャンプスタートとなりました。
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アジアンツアーQTを終えたばかりの鈴木敬太選手も参加してくれました

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あの1億円プレーヤーが目の前で毎日練習している。これは凄い参考になります。

第1クールでは「練習の課題と方向性を明確にする」という点をコンセプトにします。「ゴルフにおいて65%~75%はパッティングとショートゲームで結果がきまる」という考えでショートゲーム強化は特に重視しました。

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ショートゲームに関しては特に様々な課題を用意して練習しました

ウエッジでは「寄る、寄らない」ではなく、「どんな高さ、どんなスピン、どういう風に打つ」という意識を高めた練習をしてもらいます。またパッティングでも「どの水準をもってよしとするか」という意識を明確にしてもらいます。いわゆる「日本の日常化された練習のルーティンワークからの脱却」ということはかなり盛り込みました。

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もちろんショット練習ではトラッキングをおこない理想的な弾道の模索もおこないます

そしてそのために必要だったのは「当たり前と思える基本時術の本質的な意味を理解してもらう」という点です。グリップ一つとっても多くの選手は初歩の段階で「それは、そういうもの」という認識で覚え、練習してきています。しかし「なぜそうなのか?」という機能論理を認識することで「新たな技術への派生」「問題点の原因の発覚」などが理解できるのです。優れたゴルファー程「シンプルな基本」という部分をより強く探求していくのです。

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斎藤トレーナーによるトレーニング指導はこの日だけで1クール分の価値がありました

さらに第1クール終盤で大きなイベントを用意しました。アメリカのLPGAツアーで多くの選手のフィジカルトレーナーを務める斎藤大介氏に来ていただき、ツアー現場で実際に選手たちがおこなっているトレーニングやエクササイズ指導、個別のパーソナルチェックで今後のトレーニングメニューまで作成してもらいました。これは過去にも例はなく、本当に貴重な経験になったと思います。

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個別にトレーニングメニューまで作っていただきました

またLPGAツアーからパンナラット・サイパーン選手にも来ていただき、選手たちとプレーしてもらいます。本場のLPGAツアーの選手と何が違うのかを体験できたと思います。第1クールの時点で相当に濃密な内容となりました。

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実際に本場LPGAの選手とプレーして自分と比較するチャンスは滅多にないと思います

IGAスプリング新潟キャンプ2018募集

日 程
4/22(日) ヨネックスカントリークラブ
4/23(月) ヨネックスカントリークラブ
4/24(火) 新潟サンライズゴルフコース
*天候、コースの事情で変更になる場合があります。

参加費
ジュニア     10,800円(施設使用料、昼食込み)
一般(22歳迄)    6,000円(昼食、プレーフィ8,000円程度は自己負担)
IGAアカデミー生   経費自己負担のみ


宿泊 6,500円(1泊朝食付)~

*アカデミー加入に関してはお問い合わせください。

*最寄駅からの送迎に関してはお問い合わせください。




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お問い合わせ
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第17回トゥルービジョン国際ジュニア選手権2018 参加者募集

タイTV民放最大手の「トゥルービジョン」がシンハービール、PTT石油公社、タイ国際航空、サイアム財団といった大企業のバックアップで「世界の頂点を目指すジュニア育成」のコンセプトで始めたのが「トゥルービジョン・ジュニアゴルフツアー」です。年間12試合程のツアーが組まれており、開催国はタイにとどまらず、インドネシア、インド、中国、マレーシア、シンガポール、アメリカとツアー自体が国際的なサーキットシステムで運営されることで、ジュニアのうちから「ツアープロとして感覚を養わせる」ことにも成功し、昨今の国際舞台におけるタイ選手の活躍の原動力となっています。世界アマチュアランキング対象競技であり、各国からも全米ジュニアチャンピオン等のトップ選手が数多く集結します。日本選手は2016年は男女Aクラスでアベック優勝、2017年も男子Aクラスで優勝者している大会です。

期 間  2018/4/1~4/7

遠征場所 タイ王国チョンブリー県パタヤ地区

大会名称 15th TrueVisions International Junior Golf Championships 2016
  (第15回トゥルービジョン・インターナショナル・ジュニアゴルフ・チャンピオンシップ)

競技日程 ABクラス男女4/3~4/7 72ホール  Cクラス男女 4/3~4/6 54ホール

開催コース Siam Country Water Side 

宿 泊  Golden Beach, Pattaya

クラス分け(4/5時点の年令)
BAクラス(男子 15才~20才)   BBクラス(男子 13才~14才) 72ホール
GAクラス(女子 15才~20才)   GBクラス(女子 13才~14才) 72ホール
BCクラス(男子 11才~12才)   BCクラス(男子 11才~12才) 54ホール
*各クラス、1バックキャディ付きの歩きプレーです。
*キャディは日本語は使えませんが英語は使えます。

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費用の詳細
参加費 38,000バーツ(約135,000円)2/15現在の為替

<参加費に含まれるもの>
・エントリーフィー ・宿泊費(6泊)  ・空港送迎 ・コース-ホテル送迎 ・プレーフィ(5R分)   ・朝食6回、昼食5回、夕食6回 ・練習ボール ・ユニフォーム ・現地コーディネーター料 

<参加費に含まれないもの>
・キャディフィ、チップ400バーツ/ラウンド ・航空運賃等バンコクまでの交通費 
*その他、個人費用としてホテルチップ20バーツ/1泊、水ドリンク代、練習場代、個人的な小遣い、洗濯代

<申し込み、問い合わせ>
申込はメール、フォームでも受け付けております(クリックでフォームが立ち上がります)
メール   inoue1967pga@grace.ocn.ne.jp
フォーム  https://www.secure-cloud.jp/sf/1518752986KPgPVkfn

申込締切 3/12

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JLPGAの2019年のプロテストとQTについて

JPGA(日本女子プロゴルフ協会)が2019年よりQT(クオリファイトーナメント)の出場資格をプロテスト合格者となるJLPGA会員のみに限定する方向を打ち出し、波紋を呼んでいます。「時代に逆行している」「若い選手の目を摘んでしまう」との声もありますが、私なりの見解と今後の日本の女子プロゴルフ界の展望を考察してみたいと思います。

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プロテストに合格しなけばQTに出られない。では新しいプロテストシステムにも興味がある

まずはプロテストシステムですがこの規定変更のカギを握るのはプロテストのシステム変更です。現在は順位で競う「相対評価」ですが、規定のストローク以内でプレーすれば合格となる「絶対評価」にするのであれば悪い変更ではないと思います。本来、プロテストは「プロゴルファーとしての最低ラインの技量を有しているか?」という実技審査ですから現在のような順位で合否を決めていたのでは合格ラインが年度によって大きく動いてしまい、プロ資格取得を目指して努力する人には非常に分かりにくい目標となってしまいます。事実、日本以外でプロテストを実行している国(非常に少ないですが)ではスコアによる合否システム、つまり絶対評価を採用しています。そして以前は日本でもプロテストは絶対評価システムを採用して3ラウンドを12オーバー程度で合格でした。

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ちなみにこの方々の時代、プロテストはスコアで決まる絶対評価

さて2019年以降はプロテストからQTへと進むことになるのですが、このシステムは実は目新しいものではありません。というのも男子のJGTOツアーは1998年の発足当時、ツアー出場統一予選会と称してPGA(日本プロゴルフ協会)プロテストの1次予選から最終テスト3ステップを勝ち抜いた合格者にPGA会員を加えた選手で4次予選、最終予選へと進むシステムでおこなっていました。後にJGTOがQTを整備することでプロテストに合格せずともツアーを目指すことができるようになりました。JLPGAがいうシステムは男子ではすでに行われていたシステムなのです。

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日本選手以上に外国人選手にとっては「狭き門」になる

これは、あくまでも推測ですが今までのオープンなQTが今後、日本選手より海外選手に有利に働いてしまう可能性、結果としてツアーが今以上に海外選手に席巻され、最終的にはツアー自体の人気が下降する事を懸念しているのかもしれません。反面「世界中の人から見てもらえる魅力あるツアー作り」という点ではマイナス要素にもなります。私的な見解ですが「日本は世界を目指さずにあくまでも日本国内におけるツアー発展の意志を示した」という見方ができます。

様々な角度から見ると、プロを目指す日本の若い女子選手に逆風に思えるシステムでも、長い目で見れば日本選手を守ってくれるシステムという見方もできるのです。

男子ツアーの人気低迷にはQTオープン化によって外国人選手が大量に流れ込んだことが一因であることは多くの人が知るところです。結果的に日本の若いプレーヤーは海外に活路を求めるようになり、ここ数年は海外の下部ツアーで揉まれた選手が国内でも活躍するようになりました。

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アジアの若い選手が最も興味があるのはシステムではなく実力

以前から書いているように「プロツアーはアマチュア競技とは違い興行であり、その興行を運営する統括団体は興行主である」「プロゴルファーはその興行に出演する役者であり、配役を決めるのは全て興行主である」という2点です。

就職活動に置き換えて考えれば新卒雇用する企業が採用条件を変えたからといって、その企業どころか業種まで希望進路を変えてしまうのでしょうか?自分がその業種を職業として希望しているのであれば他社へ変えることになると思います。プロツアーの場合の他社とは言うまでもなく海外ツアーです。

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男子ツアーでは海外で揉まれて日本に帰って結果を出す選手が増えている

「強い奴はどこに行っても強い、強い奴はどんなシステムでも強い」というのがプロの世界の不文律です。日本にとどまらず、ガンガン海外にでる日本選手こそが日本のゴルフ人気の原動力となったスターであることは松山、石川、宮里、畑岡が実行し、証明してくれていると思います。

知っておきたいアメリカ大学ゴルフ

年の瀬も近づき、高校3年生の進路か徐々に決まってきました。もちろんプロの道に進む選択をする選手もいますが、やはり大学を選ぶケースが多いです。

ジュニアを卒業した後に大学に進み、ゴルフ部に在籍して更に4年で腕を磨き、プロ転向というのも選択肢てしては「アリ」ですね。中にはアメリカの大学にゴルフ留学という話も耳にします。

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スタンフォード大学はゴルフ部専用のコースを持ち、定期的にリノベーションされる

ジョーダン・スピースに代表されるアメリカのトップ選手たちは大学リーグで活躍してプロ転向して成功していますから「やはりアメリカ大学の方が強くなるのでは?」と思われているケースもあるようです。そこでアメリカと日本の大学ゴルフとはどのように違うかを書いてみましょう。

まず大学の数が日本の約750校に対しアメリカは約4300校ですから日本の5倍以上あります。このほとんどの大学がゴルフ部を有しています。アメリカではゴルフはポピュラーなスポーツということでしょう。環境の良さは言うまでもありません。

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タイのジュニア選手権を共に戦った原田くん(右端)はニューメキシコ州立大のスカラシップを得た

また「ゴルフの名門校」も数多くあります。タイガーやミシェルウィーで日本でも有名になったスタンフォード大学、NCAA(全米体育協会)で常に上位にランクされるデューク大学、アリゾナ大学、ジョーダン・スピースらを輩出したテキサス大学、等々。こういったアメリカの大学ゴルフ部は徹底した少数精鋭で、大部分のゴルフ部が男女ともに全学年合わせて10人以下です。アメリカではスポーツにおいて「コーチの権限が絶大」という認識ですから、指導強化しやすく、リーグ戦に必要かつ、部内で適度な競争原理が働きやすい人数になるようです。

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チームとして徹底した少人数制、これが恵まれた環境が加わることで高い強化性を獲得している

最も大きな特徴は「一般学生として大学に在籍できても、ゴルフ部には入れてもらえない。」という部分です。ゴルフ部員は全てスカラシップ(奨学生)でコーチの推薦を受けて入部した学生に限られているのです。大学によってスカラシップの待遇は違いますが、中には月数百ドル程度の「お小遣い」まで支給する大学もあります。

昨今では、このスカラシップのスカウティングを現在では海外にまで広げています。名門デューク大学の女子は部内でアメリカ人は一人しかいないと話題になりましたが、今後もこの傾向は進むと思われます。タイでもジュニア達の進路の選択肢にプロの他にアメリカの大学でスカラシップ獲得が多くなり、ジュニア大会の会場ではスカラシップの説明会も開かれています。

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PRIMAもアイオワ州立大でスカラシップを得て、NCAAリーグで活躍し、卒業後はLPGAツアーへ

ここにはゴルフに限らずアメリカのカレッジスポーツの人気も後押ししているのも事実でしょう。バスケやフットボールが代表ですが公式戦では入場料をとったり、グッズ販売などを行って潤沢な財源を確保し、分配する事もしています。フットボールなどは人気のある対戦カードでは10万人収容のスタジアムが超満員になります。しかし選手やチアリーダーのコストがありませんから莫大な収益をあげることになるのです。

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この絶大な人気が恵まれた環境を実現するための潤沢な資金を生み出す

アメリカの大学ゴルフは日本の体育会、部活動、サークルといった性質ではなく「チーム」という形で運営されています。結果として個人競技のゴルフでありながら選手は「チーム」に対する帰属意識を強く持つようになります。

アメリカの大学出身プロたちの多くが大学時代に既に「報酬の授受以外は全てプロ」という形式で活動しているのです。それ故に大部分の選手がPGAツアー等でも新人とは思えない、立派な振る舞いで、ファンを獲得でき、ツアーも発展するのです。彼らはスカラシップを受けた時点で「プロ意識」を持って4年間を過ごすことになるのです。

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NCAA女子を制したデューク大はアジアからの留学生たちが主力でアメリカ人は1人

もちろん全てのゴルフ部員がプロを目指す訳ではなく、卒業して学士号取得後は大学院で修士号取得を目指したり、自身をキャリアアップさせてセカンドライフに備える学生が大多数です。彼らは大学時代をプロ同然の選手生活を送っていますから、卒業後は正に「セカンドライフ」と位置づけても良いようです。

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私のジュニア強化メンバーのひとりだった吉原くんは、渡米後は名門UCLAのスカラシップを獲得

それだけに学業も楽ではありません。アメリカのカレッジスポーツは全てNCAA(全米体育協会)が主管となり、細分化された規則が定められています。学業成績は一般学生と同等に扱い、いわゆる「下駄をはかす」行為は禁止されています。成績が悪いとレギュラーを外され、試合に出られません。これが大学単位でなく、NCAAが決めた共通規則です。

また、NCAAには「チームが7日間以上の遠征する場合は家庭教師の帯同を義務付ける」という規約もあります。この部分が「アメリカは文武両道」と言われる認識の要因にもなっているようです。NCAAの強豪大学は必ず専属の家庭教師によるサポートがあることで、日中の練習や試合で不足した分は家庭教師が補充しているのが実体です。

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タイのAMGジュニア選手権会場ではアメリカのスカラシップのガイダンスもおこなわれれる

徹底した少人数と恵まれた練習環境、プロ水準の試合システム、学生としての学業サポートの充実あっての「文武両道」なんですね。以前、日本で「アメリカは文武両道なんだ、日本もゴルフばかりでなく、勉強をさせろ!」と言っていた人がいました。この環境実体を知った上で言ってほしかったです(笑)

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AMGジュニア選手権を優勝したビームちゃんも来年からスカラシップを受けて渡米します

このようにアメリカの大学ゴルフ界はさながらプロツアー並みの運営によって得た利益を選手の育成や環境整備に還元するシステムが確率されているのです。

アメリカのみならず、英語圏の国や英語教育が進んでいるタイや韓国のジュニアにとっては「トッププロになるための最も理想的なルート」の一つなんです。もちろん「絶対、アメリカの大学が最高!」とは言いませんが選択するコンテンツが増えることで自分の視野や方向性を広く持ち「流されないゴルフ活動」ができると思います。

AMGジュニア選手権(6) 一人では戦えない

最終日を前にしたミーティング。「勝敗は運が決める。最終日の戦い方なんてない。」ということ。そして「プロは1人で戦うことはできない。自分以外の誰かの為、誰かのおかげで戦えるのがプロの最終日の戦い方」ということ「もしも不本意な結果になったら、それは全て自滅です。理由は全て自分にあると思え。」という事を伝えます。日本にはないジュニアの4日間トーナメント、それも親善目的のフレンドリーゲームではなく強化目的のアウェイゲーム。「強くなるための何か?」を個々に掴んでほしいのです。達観したような認識ではなく、最後まで熱くなるようなプレーができるかが重要。そんなゴルフがプロとして成長した時に「人に感動を与えるゴルファー」に成れるからです。

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石川は選手のために毎朝おにぎり朝食を握ってくれた。陰で支えた1人と思ってほしい。

様々な人達のサポートがあります。選手のために日々動いてくれる筧マネージャー、この試合を企画して招待してくれたファトラム社長、ハイシーズンに送迎車と運転手を快く提供してくれた振角社長、運営や設定をしてくれたAMGスタッフ、ともにプレーして支えてくれるキャディ、夕食や朝食を自ら作ってくれる石川社長、送り出してくれた家族、そして最終日も共に戦うライバルたち。それを全部、勇気に変えてコースに立ち向かえばよいのです。本当に戦うべき相手と戦う目的だけは明確にしてもらいます。私はそれを「フィールド」と呼んでいます。最終日は最高のフィールドワークを目指してもらいます。

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スタート前のルーティンワークに目的意識が感じられるようになったのが一番大きい進歩

最終日スタートです。この日は初めて日本選手全員が「表街道」のアウトスタート。優勝、展開次第でも入賞が狙える位置からのスタートということになります。

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緊張する千怜ちゃんを経験者の翔香ちゃんが落ち着かせる

女子Bクラス最終組の千怜ちゃんは2打のアドバンテージをもってスタートしますが、千怜ちゃんは6番時点で遂に2位の選手につかまってしまいます。さらに8番で逆転、10番ではバーディー、ボギーで逆に3打差つけられてしまいました。残り8ホールです….

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ついに逆転を許してしまう。しかしここからが強かった

女子Aクラス、最終組から1組前の みらいちゃん、初日の失敗を焦らずに着実に順位を上げて最終日はアウトスタートに返り咲きましたが。このあたりは昨年より試合経験を積んでレベルアップしたしたと言えます。しかし最終ラウンドになると疲れが少し見えています。昨年は3日目に疲れが見えました。彼女にとってチャンピオンシップ経験は今後の大きな糧になるはずです。

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2日目以降、長いホールでも冷静かつ積極的なプレーをするようになったのは進歩

女子Aクラス最終組の翔香ちゃん。首位との差を早く縮めておきたいのですが空回り気味。今年は日本女子アマやタイアマチュア選手権、過去にも海外遠征で数多くの4日間トーナメント経験のある彼女です。しかし今回のAMG選手権のハードさに3日目終了時点で「ガス欠」という状態になっているのが見受けられます。前半で首位グループに大きく離されてしまいます。

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「ガス欠」になった最終日、そこからが本当の強化試合の始まりだった

男子Bクラス最終組の小屋くんはワリスについていき、優勝は無理でも入賞は狙いたいところです。オーストラリアで経験した初の4日間トーナメントでは芝の違いで全く通用しなかったそうですが、今回は順位を意識したプレーができています。

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自分の武器と自分の弱点を同時に向き合わされる。優れたライバルはそれを教えてくれる。

男子Aクラス最終組から1組前の大輝くんも「自分のベストプレーで順位を上げる」ということに集中しています。今回のメンバー中では最も体力面に余裕があり、じわじわと順位を上げていますので期待できそうです。

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時間はかかっても「自分の課題」が分かれば、その瞬間から自信が見えてくる

日本選手の先頭をいく千怜ちゃんの組についていた筧マネージャーから「14.15番の連続バーディーで首位を捕まえました!」のLINEが?!スコアを落とすインコースに入っての追撃。そして17番パー3では「あわやホールインワン」のスーパーショットで再逆転!最終ホールをパーで納め、劇的とも言える幕切れで優勝を手にしました。

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苦しかった。でも一人で戦ってなかった勝利だから周囲にも感動を与えることができた

続く みらいちゃんも頑張りました。何といっても初日の失敗が大きかった思います。ホールアウト後にも「選手権では初日の大切さが身に染みて分かった」と語ってくれました。そうなんです。その経験が戦い方を覚えさせてくれるんです。悔しいけれど収穫が大きな試合になりましたね。

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着実に進歩している印象のある みらいちゃんは今後は楽しみなプレーヤー

女子Aクラスの最終組から「翔香ちゃんがインコースを3バーディーで首位に2打まで追い込んできた!」との連絡が入ります。これには驚きました。残り7ホール時点で首位とは7打差ありましたから、もはや絶望的な状況でした。首位に飛び出したビームちゃんも調子良かったので、まさにスーパーチャージとも言える追撃は最終ホールで優勝が手に届く場所まで伸ばしたのです。結果としては最終ホールで力尽きる形になりました。どちらかと言えば、大詰めではスコアを崩す展開が多かっただけに、この驚異的な追撃力は今後必ず生かされてくると思います。

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誰かに背中を押してもらっていると感じた時に底知れない強さが生まれてくる

大会も無事終わりました。岩井千怜ちゃんが女子Bクラスで優勝。AMGツアーのシリーズを通じて初の外国人優勝者となりました。男子Bクラスの小屋将一朗くんが4位入賞、女子Aクラスでは古家翔香さんが4位入賞、鴻上みらいさんは7位、男子Aクラスで斎藤大輝くんが8位という結果でしたが、結果以上に得たものは多かったと思います。この遠征の経験が今後の練習や試合に生かされることが一番大事だと思います。千怜ちゃん優勝おめでとう。その他のみんなも凄く良かったです。この経験を忘れずに取り組めば必ず大きな力になります。
涙あり、驚きあり、悔しさあり、だから喜びもあり、みんなこんなに心が動いた試合はなかったかも知れません。でもそれが強さの原動力となり、人にも感動を与えることができるプロゴルファーの戦い様ということを感じてもらえば、この遠征の強化は成功だったと思います。

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「未来のスター」を育てるジュニアツアーだから、スターの卵らしい戦い方をしてもらいました

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「楽勝」ではない勝利だったから、プライス以上の価値と経験を与えてくれたと思います

PS.このブログを書き上げる前に結果が出てしまいました。AMG選手権からわずか2週間後、古家翔香さんが中国のミッションヒルズで行われたチャイナ・アマチュア選手権で見事に優勝しました!!自身としても初のチャンピオンシップ制覇。首位タイで迎えた最終バックナインで2位を引き離すという勝負強さを発揮しての優勝。この試合の経験が生かされたと思います。翔香ちゃんもおめでとう!

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「勝負強さ」を鍛えたら、いきなり成果が出てしまいました(笑)

AMGジュニア選手権(5)アウェイで強くなる

大会3日目、競技は本来のチャンピオンシップ・ラウンドに突入することになります。地元タイ選手たちの目付きが前日とは違ってきます。このあたりはタイのジュニア達が4日間競技に慣れていることを物語っています。3日目は「プライス獲得に向けたクラッチラウンド」なのです。

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チャンピオンシップラウンドに入るとタイ選手たちの雰囲気が変わる。4日間を知っているんですね

この試合は出場選手の大部分が地元タイ選手という「国際試合」というより「アウェイ試合」といった方がよいかもしれません。しかし、将来プロとして戦っていくのであれば「アウェイ試合」の経験は親善的性質の国際ジュニア試合よりも強化性が強いと思います。日本ツアーで悔しいくらいに勝ちまくる外国人選手の強さは「アウェイの強さ」なのは多くの人が知るところなのですから。



日本選手たちにとっては2日目に順位を上げたのは みらいちゃんだけで、千怜ちゃんはキープ、残りの2人は順位を落としていますから3日目はまさにムービングデーしなくてはなりません。タイ選手もテンションが上がる中でどこまでいけるのか?

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セーフティリードを作ることができるのか?

男子Aクラスの大輝くん。昨年のメルセデス選手権や過去のキャンプ経験で誰よりもブラパの難しさを知っています。そして、過去の経験以上に難しいコースセッティングですが決して怖気づいていません。タイの試合における自己ベスト更新という明確な目標を持っているからです。ある意味、彼がこの試合の目的を一番理解していると思います。

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アメリカのアカデミーで得たものは技術ではなく「自分にあきらめない気持ち」ということが伝わってきます

男子Bクラスの小屋くん。2位には返り咲きたい目標もありますが、それと同時にワリスくんから何かヒントを得られれば良いと思います。あくまでも強化目的の試合なのですから。

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規格外れのライバルとのプレーは辛い、でもそれは最高の経験の積んでいるんです

女子Bクラスの千怜ちゃん。首位とはいえ2打差ですから予断は許しません。できる事なら2位との差を広げて最終日は独走したいところです。バーディースタートで好発進しました。

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序盤は2アンダーペースでセーフティリード作っています

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でも忘れてはいけないのは、アウェイです。このまま相手が黙って逃がすわけはない

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圧倒的なスキルを持つ選手の根拠を探る姿勢はジュニア期にはあってほしい

女子Aクラスの みらいちゃんは未だインコーススタート。2日目スタート前に「初日の失敗を1日で取り戻そうとすれば、難コースに返り討ちに合う。カットがない試合なんだから2日かけてアウトスタートに戻ってくればいい。」とアドバイスしましたから、落ち着いたルーティンワークでプレーしています。彼女に関してもう一つ興味があったのが「体力面」。昨年は3日目に疲労が見られ極端にパフォーマンスが落ちていたのです。このあたりがどの位、進歩したのかは注意してみることにしました。

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着実に進歩している。その取り組み方は絶対に実を結ぶ日がくる期待感があります

女子Aクラスの翔香ちゃん。2日目は17番の失敗で最終組から滑り落ちてしまいました。スタート前からキャディが翔香ちゃんにチッピングのアドバイスをしています。プロツアーの経験のあるキャディは技術面より、心理面からくる狂いをアジャストするアドバイスができますから心強い味方です。

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絶対に最終組に返り咲いて最終日をプレーしたい。

大輝くんは目標の「タイの試合のベスト更新」を達成します。8月に単身渡米してアカデミーで腕を磨く日々は彼に流されずに前を向いて進む行動力を与えてくれたと思います。小6からタイに連れてきて6年…たくましい大輝を見れるようになりました。

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苦しい局面でも向き合って、冷静に判断してベストを尽くす姿勢が見え始めた

小屋くんはワリスくんとの差を縮めることはできませんでしたが、3位で最終日最終組を確保します。初遠征のオーストラリアよりは温暖性の芝への対応もできるようになってみたいです。あと1日です。

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「自分の武器」で通用するのものから勝負する。それを磨けば活路は見えてきます

アウトで2位との差を5打まで広げた千怜ちゃんでしたが、やはり鬼門のインでスコアを落とし、差はスタート時点の2打差のままで最終日を迎えることになりました。初の4日間トーナメントですから、かえってこのような形の方が今後の役にたつ経験と思ったりして(笑)

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徐々に4日間の難しさが襲いかかる。それが経験できれば大成功

みらいちゃんはこの日もインで我慢して、アウトで伸ばすというプランを見事に実行。順位を上げて最終日はアウトスタートに返り咲きます。昨年に比べてパワー、持久力が格段に向上しています。もちろん、それ以上に必要なのも確かですが今後に向けて楽しみなってきました。

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焦らずに自分のゴルフを試合にフィットさせていけば順位は上がる。それが4日間の魅力でもある

翔香ちゃんもアウトはアンダーペースでプレーしていましたが、7番のティショットのミスからリズムを失います。しかし、そこから我慢のゴルフでスコアをキープして順位を上げ最終日最終組に返り咲きます。

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単調な4日間より、厳しい4日間が良い。だってメジャーはそうだから

そして明日は最終日。その前に彼らに教えておかなければいけないことがあるんです。

AMGジュニア選手権(4) 大会2日目、ルーティンを考えろ!

大会2日目。前夜のミーティングでは「スタート前のルーティンワーク」や「プリショットルーティン」に関してアドバイスします。

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韓国焼肉食べながらルーティンワークのマズさをお説教!(笑)

ジュニア達を見るとスタート前は練習場➡グリーン➡ティグランドという流れが出来上がっています。そこで「何故?」の問いに「いつもそうしている。」の回答。日本ではボールの球数制限などでスタート前の選手の練習すら主管側によって管理されているということを知りませんから、日本の試合経験によってそのようなルーティンワークが出来上がっているのです。

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みらいちゃんはルーティンワークを変えることで上向いてきます。

しかし、海外、ましてプロの世界では試合によって多種多様。いち早く主管側の運営意図を理解して、少しでも自分に有利なプレスタートタイムを過ごす必要があります。まずは「スタート前のドライビングレンジはスタートホールの為にする。」ということ「ゲーム全体の流れを決めるパッティング練習は2回行う」「試合の流れを左右するチッピングを必ず行う」ということを伝えます。「ボールを打つのが上手い選手は勝てません。試合が上手い選手になりましょう」が課題です。

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ルーティンワークの差はゴルフや競技の認識差に育まれる場合が多い

そして、2日目のスタート前のルーティンワークに変化が現れました。自分のスタートティとドライビングレンジ、練習グリーンの配置まで考慮して「効率よく、どの順番で、何をするか?」という工夫を各自が始めました。コースの施設の配置まで考えて準備する意識は大切だと思います。

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スタート前のルーティンワークを考えて徐々にタイにも慣れてきた

このルーティンの自己管理が徐々に効果を表します。初日に出遅れた みらいちゃんは少しでも気にいならければ仕切り直し、周囲など気にせずに自分のルーティンで集中することで徐々に力を発揮し始めます。バック9に入るころには随分と強気なプレーをするようになりました。

小屋くんは初日2位だったのですが、同い年の首位のワリスくんに圧倒されています。ワリスくんは近いうちにナショナルチーム入りを嘱望される逸材で、このブラパの難コースをアンダーペースでプレーしてのです。「飛距離は自分の方が出るのに、ウエッジの能力が違いすぎるんです。こんな凄い奴、日本では見たことがない・・・」と言ってきました。私の目から見てもショートゲームの上手さは群を抜いています。そのスキルが「多少ブレてもスコアを作れる自信」に反映しているんです。小屋くんは「最終日まで一緒にプレーできるように頑張れば、ショットも見れるし、上位も狙える」という明確な目標になりました。

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「日本でこんな凄い奴見たことがない!」小屋くんの目線の向こうには

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ワリスくんのスタイルはタイ選手としてはスタンダート

初日のプレー中での翔香でルーティンは概ね安定して見えました。しかし「ある違和感」を感じたのです。この日はフロント9をアンダーで折り返して首位を追いかけます。迎えた17番パー3を見ると、2段グリーンの左下のピンポジションに対して右下にティショットを打ち、セーフティなポジションをキープ。2位の選手は上の段にオンさせてしまい、3パットはほぼ確実(っていうか3パット)、首位の選手は右のバンカーの淵に大きく外し、スタンスもとれない大トラブル。

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日本なら絶体絶命のトラブルに時間をかけてイマジネーション満点のスーパーリカバリー

ところが首位のNAPABACH選手はこの超難易度の高い局面でロブショットをグリーン上段に落とし、傾斜を利用した転がりで見事に1mに寄せてしまいます。翔香ちゃんはチッピングが大ショート、そこから3パットでダブルボギー。16ホールかけて近づけてきた首位との差を逆に広げられてしまったのです。まさに「タイの技術」に打ちのめされた瞬間でした。

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あんなリカバリーを目の当たりにして動揺しない方が難しい。克服するには自分もできるようになるしかない

ホールアウト後のアテスト中にキャディに聞くと「グリーンの速度を警戒しすぎてチッピングがショートになる。」「最後の打順になるとルーティンが早くなる」という見解。私が感じた違和感と全く同じものでした。これが3日目の課題になります。

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2日目の夜は石川社長特製ハンバーグカレー食べ放題。きつい時だから旨い!(笑)

AMGジュニア選手権(3) 数字と闘うな!コースと闘え!

いよいよ大会初日です。
前夜のミーティングで「おそらくコースは最高難易度に設定してくる。思うようなスコアにはならない。日本の感覚でスコアを意識するとストレスが溜まって大たたきになると思う。」ということを告げておきました。

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スタート前の雰囲気も日本のように厳粛ではなく、非常にフレンドリーな空気なのが国際試合の特徴

ブラパゴルフクラブの難しさはコース難易度の指標となるスロープレートにも表れています。トーナメントティからのスロープレートを日本の名だたるコースと比較すると…

ブラパゴルフクラブ 142
霞ヶ関CC東     136
大洗GC        138
小樽CC     140

いずれのコースも通常営業では最高難易度になるセッティングはしていません。しかし、今回のブラパに関しては「トーナメント設定でいく」という趣旨を聞いていました。同年のパタヤオープンの女子の部では優勝スコアは3日間トータル214ストローク、つまり8オーバーという部分がその難しさを物語っています。

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自分の専属キャディを従えての試合はほとんど初めての経験

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初日のフロント9でいきなり海外の洗礼を受けてしまう。しかし、このあとはしっかり巻き返した

インスタートの岩井千怜さんはフロント9で4パット2回、バック9では1アンダーでプレーして5オーバー77と本人としては不本意すぎる大叩き。ところが女子Bクラスでは首位に立っています。男子Bクラスの小屋くんも自分としては超不本意な78…ところがこれも2位。

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海外初挑戦のオーストラリアでは「全く歯が立たなかった」という小屋くんも今回は入念な準備ができた

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練習ラウンドの成果か、優勝候補筆頭のパークくんに「チッピングが滅茶上手い!!」と褒められた。

そうなんです。日本ではこのようなセッティングでプレーした経験がないのです。言い換えるなら「日本のコースはどこであっても大体同じスコアで順位が成立する。」のに対し「海外では大会ごとにトーナメントの趣旨に基づいたセッティングになる。」ということなのです。このあたりはUSオープンのようなメジャーを見ればわかりやすいと思います、

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国際試合経験が豊富な古家さんも「今までの国際試合の中でも一番難しいコースセッティング」という。

そして、もう一つの性質が「グリーンと周辺のセッティングによって難易度を上げる」という点です。ティショットの乱れなどではレイアップすれば最悪でもボギーで収まるのですが「100ヤード以内の距離からダブルボギーになるパターン」が非常に多くなるのです。コース全長は男子で約6900ヤード、女子は6200ヤードと日本ならば「短くて易しい」と思われそうなコースが「ウエッジからのダブルボギーを誘うセッティング」によって選手には大きなプレッシャーを与えているのです。選手たちは初日からその洗礼を受け、練習ラウンドで指示したことの意味を理解したようです。

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昨年のタイジュニア選手権より格段にパワーアップしてきたみらいちゃん。今回は4日間の戦い方を学んでほしい

AMGジュニア選手権(2) 練習プレーでなく、練習ラウンド

いよいよ練習ラウンドに入ります。前夜の夕食時にも練習ラウンドにおける注意点を話しました。

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「ゴルフをプレー」したのでは本当の練習ラウンドとは言えないことを知ってもらう

そしてスタート…やはり「練習プレー」になってしまいそうです。そこ「ゴルフプレーをするな!」と指示。まずは自分の理想的なショットをイメージして、そこにボールがいかなければ動かすなり、マリガン(もう1球打つ)ことを支持します。コースレイアウトや特性を把握しながら、本番のロケーションを予想して、その状況からのショットをメイクする事。想定されるパターンを絞り込む作業が必要なことを知ってもらいます。ツアープロの練習ラウンドの作業を実行してもらうのです。理想のプレーは誰にでもイメージできるもの。練習ラウンドではイメージだけで充分です。理想からの誤差を想定し、必要な情報を集めるのが競技の練習ラウンドです。

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プレーでなく、練習になるようにアドバイスします

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練習ラウンドではミスをリカバーするのは「時間の無駄」ということを知ってもらう

日本でこういった方法で練習ラウンドできるのは日本アマチュア選手権とプロツアーに限定されています。ジュニアやアマチュア競技の練習ラウンドは「1球のみのプレー」と限定されているケースが多いため、開催コースにフィットさせる作業が不十分になりやすいのです。

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日本アマチュア経験者はいち早く言いたいことを理解してくれた。海外なら競技の練習ラウンドができるということを

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ラフとフェアウェイで打ち比べてグリーンへのコンタクトの違いをチェックすることを教える

スロープレート140を超える難コースで戦うためには「ボールを打つ技術を競おうとする日本のゴルフ」では厳しいのです。あらゆるコースの特性をいち早く掴み、本番までにアジャストするのがツアーの戦い方です。今回のメンバーには特に優秀ですから是非とも知ってもらいたかったのです。

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みらいちゃんはチッピングが重要なことにいち早く気づき、練習にも重点を置き始める

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トーナメントに慣れているブラパのハウスキャディは選手のしていることを理解してサポートにまわる

古家さんだけが今年の日本女子アマチュア選手権でこういったスタイルの練習ラウンドを経験していたので、彼女がお手本になっていました。また、慣れ始めると打ったボールをキャディがピッアップしたボールをリターンして、効率よく練習ストロークをこなすようになります。ブラパゴルフクラブのキャディは「タイ国内で最も多くのトーナメント経験があるキャディ」です。トーナメント前の練習ラウンド方法にも慣れているのです。

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既にグリーンの性質を掴むことに集中し始める。ツアーでは当然の作業だ。

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こういう練習ラウンドの積み重ねが競技成績にも反映すると思う

AMGジュニア選手権(1) 出発

11/4 21:30 羽田空港国際線ターミナルに集まった5人のジュニア達。
11/8からタイ王国チョンブリー県にあるブラパゴルフクラブで行われる「AMGジュニア選手権」に出場するための強化遠征です。

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実力者揃いのメンバーに期待感が高まります

AMGジュニアツアーは今年スタートしたばかりの新ツアー。米LPGAツアーで活躍するポルナノン・ファトラムの兄であるウァオ氏が代表を務めるプロゴルファーマネジメント会社AMG(オール・マネジメント・グループ)が「次世代スター育成」をコンセプトに立ち上げたツアーです。タイ政府銀行他、多くの企業がこのコンセプトに賛同し、タイ国内で開催されるジュニアトーナメントとしては最大数のスポンサー企業を集めています。

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AMGは8月のYONEX Junior Camponshaip には4人のタイ選手を派遣してくれました

8月には日本で開催された10th YONEX Junior championship にもシリーズランキングの上位選手を派遣してくれました。8月下旬のシリーズ第4戦には日本からの選手を私の引率で出場し、国際交流も盛んに行っています。この第4戦の場で11月のシリーズ最終戦4日間トーナメントの方向性を話し合いました。AMGツアーは所属する若いプロゴルファー達を中心にしたスタッフで競技運営を行います。彼ら自身もジュニアゴルフ出身ですから、出場するジュニアの気持ちがよくわかるのです。この中でツアー選手権はプロツアー水準のコースセッティングになることを示唆します。また8月の10th YONEX Junior championship の優勝選手を国際招待選手として招聘する意向も示してくれました。

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AMGツアーの最大の特徴はHQがジュニア出身の若いプロ達で構成されている。これが人気の最大の理由。

11/5 早朝、バンコク・スワンナプーム国際空港についた一行は専用車で開催コースであるブラパゴルフクラブに向かいます。この日の予定は開催コースの練習施設での練習です。

ブラパゴルフクラブは天然芝打席のほかに4つの練習グリーンやバンカー練習場、80ヤードのアプローチ専用エリアも有しており、もちろんグリーンでのアプローチも練習できます。私もタイキャンプ当初は通年ブラパゴルフクラブを使用していた理由はこの練習環境の良さでした。

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やはり天然芝打席は最大の魅力です。練習にも熱が入ります

ここで選手のパーソナルチェックと芝になれる練習を行います。タイのコースは温暖性永年草のティフトンやバミューダーですから芝の難しさは寒冷地仕様の日本の芝とは大きく違います。練習グリーンでのチッピングでもザックリやトップを数多くやっていますね(笑)

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まずは芝に慣れることが最優先、想像以上にチッピングの球足が揃わないことに戸惑いを隠せません
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大輝君はトラッキングチェック、小屋君はグリップチェックで効果があります。

今回の遠征試合は試合結果以上に強化性を強くした競技と強化の一体型のキャンプを意識していますから、指導の方も積極的に行うつもりです。




ウインターキャンプ in タイランド2018 募集中
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http://inoue1967pga.blog.fc2.com/blog-category-29.html

アスリートの義務とスター性

石川遼が来年のPGAツアーシード権を喪失しました。本当に残念ですが、2部のウェブドットコムツアーに参戦すると聞いて、本当に嬉しかったし、来年は過去最高に彼を応援したい気持ちになりまし。

そんなふうにさせてくれるのは「石川遼は間違いなくスーパースター」だからと思います。

有名な話ですが彼がプロ転向を決意したとき、父親の勝美さんがしたアドバイスは「どんなに辛くてもインタビューには絶好答えろ」というものです。

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プロに求められる言葉は明るく爽やかなものだけではない。時には残酷な目にあうこともある

2016年の中日クラウンズ。プレーオフで破れた片岡大育プロはインタビューを受けながら「すいません!悔しくて!」と涙します。

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あの時、涙ながらにでも義務を果たしたからこそ

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彼の勝利は多くの人に喜びと感動与える「スターの勝利」になったと思う

その姿がマスターズで予選落ちして涙しながらインタビューに答えていた石川遼とかぶりました。そして「彼もまたスターになる資質を持った選手だな。」と思いました。

プロスポーツはプレーヤーのためでなく、それを見る人のためにあります。プロを目指すということは周囲を感動させられる人間にならなければなりません。

そんな「スターとしての資質」はジュニア時代に養われてると思います。昨今ではインタビューやスピーチに慣れさせるために小学生くらいでも実に立派な優勝スピーチをする姿が見受けられます。「こんな素晴らしいコースを設定してくださってありがとうございます。」「大会を運営していただきありがとうございます。」etc…といった感じですね。将来プロになった時にきっと役立つと思います。でも、それだけでスターになれるでしょうか?私は「負けた試合」での言葉に資質を感じるのです。いつも表彰式で負けた選手を見ています。できる限り、言葉も聞きます。「何故、勝てなかったのか?」「いつ、負けを自覚したか?」などです。残酷ですが、そこにプロの資質を感じるのです。その場から立ち去りたい一心で「下手なんです!」の一言で解決させているようではスター性はないです。どんなに辛くても自分のプレーの感想をきちんと説明する自覚と責任感を持っているプレーヤーこそ「スターの卵」だと思います。

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世界の頂点が見えたって悔しい、でも頂点が見える場所にいるから辛くてもコメントする


この見方は別の部分でも現れます。それは「競技報告」です。ゴルフは常に優勝争いをすることは難しい競技です。つまりインタビューやスピーチする機会に恵まれることも少ない場合もあります。しかし、誰もが競技において結果が出ますし、その結果を報告する相手がいます。ところが「好結果だけを報告するケース」が少なくないのです。これをインタビューなどと照らし合わせると「将来的なスターの資質」も見えてきますね。

上記のマスターズにおける石川遼の涙のインタビューには「この試合のために自分を支えてくれた人、自分を応援してくれた人のことを考えると申し訳ない・・・」というコメントがありました。

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どんな辛くても、責任を果たす自覚こそがスターの資質

そうなんです。スターは自分1人で戦っていないのです。だから、私は「負け様の言葉や態度」にこだわってしまうのです。

もしもプロゴルファー、それもスーパースターになろうと思うなら、「時には惨めなさらし者にされる」くらいの覚悟も必要でしょう。時には醜い姿や、無様な姿を見せるかもしれません。でも、そんな経験を積んで得た勝利は周囲の人に感動を与えることができるのです。それがスーパースターの勝利だと思います。

逆にそのような報告義務も果たせない人間ばかりのツアーは感動を与えられず、スター不在どころか、不人気となり、衰退し、消滅するでしょう。スターになるためにどんなに辛くても「アスリートの義務」を果たすことをおすすめします。

金を儲けたければ商売人になれ!
人を救いたければ医者になれ!
人を育てたければ教師になれ!
人を感動させたければ職人(プロ)になれ!

「流される事」と「あきらめる事」

11月に入り、私が見ている選手たちにも様々な動向が見られます。プロになった選手たちはQTや予選競技に来年の方向性をかけ、高校3年生はプロや大学、就職等の模索。中学3年生は高校進学の進路、海外からも日本のプロツアー参戦の相談まで来ます。

そんな中でも「自分の進路を決める」ということが一番悩ましいのが中学3年生かもしれません。私が関わるジュニアの子は当然ゴルフをしていますから、自分の進路上には必ずゴルフが関わってきます。

例えば「ゴルフの名門校に入るのはどうなのか?」とか「将来プロになるのか?」とか様々なことを考えながら進路を決めようと思っているでしょう。

そこで私の育成キャリアや人生経験でできるアドバイスは「流されない進路」というのが最も重要だということです。

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三倉君は環境を求めて転校、国際試合で優勝、そしてプロへと流されていないゴルフ人生を進んでいる

学生生活を日々流されるように過ごしてしまうと卒業までに保証されるのは「学歴」のみでしょう。IMGのような超一流アカデミーでも流されるだけの練習に日々を過ごせば「アカデミー出身」のキャリアのみが残ります。学生生活なら「学校」、アカデミー生活なら「アカデミー」が日々の管理をしてくれるから、流されていてもそのなりに楽しく過ごせるはずです。

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こんな世界最高の環境でも日々流されていたら得るものは無に等しい

しかし、流されていると「自覚」が持てなくなります。自覚が持てなくなると「あきらめる力」が欠如します。実は「あきらめる力」は非常に大切なのです。例えばプロゴルファーになろうと思う選手が大学を中退してプロの世界に進む決断をした場合「大学をあきらめる決断」をしたということになりますし、プロゴルファーを引退したときは「プロツアーをあきらめる決断」をしたと言えます。

「あきらめる」という言葉は悪い印象に捉えられがちですが、人生におけるターニングポイントで「継続するか方向変換するか」というシフトチェンジの判断でしかないのです。反面、これは重要なことですから、この判断力が低下していると「流される人生」になるといえます。

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「流されない自覚」を有している選手は練習している姿にも表れてくる

人は子供の内は親に管理してもらいます。しかし徐々に自分で判断し、決断する機会が増えます。その時に自覚がなければ何かに管理してもらう選択をしてしまいます。それを「依存心」と呼びます。依存して管理してもらうわけですから逆らうことは許されないのは当然でしょう。時には「自分とって大切なチャンス」があっても、管理してもらっていますから、許されなければあきらめるしかありません。

実は「あきらめる」という言葉には二つの意味があるのです「大切な選択をするときに犠牲となるものをあきらめる」という意味と「他者に自分の管理を依存しているため、自分のしたいことをあきらめる」という意味です。前者は「選択のためのあきらめ」ですし、後者は「自分に対するあきらめ」になります。

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自覚をもって取り組んでいる選手は指導者から見ればすぐに分かる。

上記の「大学中退してプロ転向」した例に中村香織プロがいます。体操の彼女は段違い平行棒ではオリンピック強化選手に選ばれますが、怪我によってゴルフに転向します。ここで「体操をあきらめゴルフを選んだ」ということです。その後はジュニアゴルファーとして関西ジュニア選手権優勝や全国高校選手権3位などの実績を積み上げ、大学に進学してゴルフ部で活動します。ところが「大学ゴルフ部の生温い雰囲気が嫌だ」といってプロ転向します。ここで「大学をあきらめ、プロゴルファーを選んだ」ということになりますね。

プロ転向後はステップアップツアーで優勝したりしてツアーのシード権も獲得しました。しかし2015年にシードを失ったQTでも失敗して、その年のオフに引退を表明します。現在は出産して一児の母となっています。ここで「ツアーをあきらめ、母となる選択」をしているのです。

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中村香織プロは「自覚と決断力」こそが才能と思わせてくれるゴルファーだった

彼女は「根性がない」わけでも「移り気」なわけでもなく「自覚と決断力」の高い人間性だと思います。彼女のゴルフ歴は12歳という、昨今の女子プロゴルフ界では非常に遅くにゴルフを始めているにもかかわらず、シード選手になれたのは「自覚と決断力」を有していたからだと思うのです。まさに「流されない人生」を歩んでいるのですね。彼女のキャリを知ったのは引退報道がきっかけでしたが、思わずファンになりました(笑)

彼女はいずれツアープロでなくてもゴルフ界に必要な人材として何らかのポストを獲得するかもしれません。ゴルフに限らず「成功するタイプ」だと思うのです。

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自覚と才能がリンクすると何一つあきらめずに全てを手に入れてしまうこともある。

プロゴルファーの世界も一般社会もジュニアや学生とは違う厳しさがあります。自分の判断で選び、自分の力で努力して道を切り開いていかなければならないのです。そんな大人になるためには「流されずに自覚を持つ」ことと「自身にあきらめず、自分に期待し続けられる」ようになれる進路を選ぶ基準にするのはいかがでしょうか?10代の限られた時間を日々に流されていくの進路はこれからの国際社会では通用しませんよ。

絶対に強くなりたい人限定!ウインターキャンプinタイランド2018募集!

今年もやります!タイキャンプ。今回は期間も内容も大幅にグレードアップしました。キャンプ日程は通算21日間。Flight Scope等のチェックデバイス、練習器具も充実していますからフルクール参加すれば相当なレベルアップが期待できます。

 

  高水準の練習環境と意識

キャンプで使用するサイアムCCプランテーションはLPGA、JGTOツアーの開催実績もあるチャンピオンコースで練習施設もツアープロの練習に充分対応できる水準にあります。特にグリーンは通常でもトーナメントができるほど高水準に仕上げられていて、より高いレベルのショートゲームの練習が可能になっています。

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天然芝ドライビングレンジでは日本のトッププロやアジア最強のタイナショナルチームと並んでの練習もありました

 

  フィジカル強化のための特別講師

1クールではフィジカルコンディショニング強化のために米国LPGAツアーにおいてミヒャン・リーやポルナノン・ファトラム等多くのトッププロのコンディションニングを担当する斎藤大介コーチに来ていただき、トレーニングやコンディショニングのセミナーやアドバイスをしていただきます。世界のトップレベルのビルドアップ指導で体作りをすれば最高の練習環境での成果も確実に期待できます。

 
タイトルなし
世界レベルのコンディションニングとトレーニングを学ぼう

 

  天然芝のドライビングレンジと高性能デバイスの組み合わせ

ドライビングレンジはコースのフェアウェイと同じメンテナンスが施された天然芝の打席です。ここではFlight Scope等を用いて弾道計測もおこない、あらゆる状況を想定したショットを指導します。

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高性能ドップラーフルトラッキングシステム Flight Scope を使用してショットとスイングを徹底的に分析指導

 

  効果的に施設環境を使いこなす

キャンプでは恵まれた練習環境をより効果的に使うために様々なアドバイスをします。

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チッピングもできる本グリーンと同じ水準の練習グリーンやあらゆる距離が打てるバンカー練習

 

  チャンピオンコースで練習ラウンド

キャンプ1日の締めくくりは9ホールの実践プレー。複雑なアンジュレーションのグリーンやヘビーラフ、ウエストサイド、ブッシュが待ち受けるトーナメントコースで日中の練習成果を試します。

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国際レベルのトーナメントコースで練習成果を発揮する


  滞在サポートも充実

ホテルは徒歩圏内にセブンイレブン、ファミマ、マクドナルドの他、マッサージ店などもあり非常に便利な立地です。ホテルにはプール、トレーニングジムも併設されています。



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日本人に人気の安全かつ清潔なホテルに宿泊してホスピタリティをアップしています

 

  海外キャンプの必要性

昨今、プロゴルファーははもとより国内アマチュアの上位に名を連ねる選手の大部分が冬に海外でキャンプをおこなうようになりました。冬場にプレーできる環境であっても極端に気温の低い日本においては充分なパフォーマンスが発揮できずに練習効果が少ないのが最も大きな理由です。競技ゴルフやプロを目指す上では「冬に気候と環境の良い場所での集中強化」は必要不可欠となり、これは韓国、欧州ではスタンダートな考え方となっています。

 

  期間 2018/1/14(日)~2/4(日)

  コース サイアムCCプランテーションコース 

  宿泊 パタヤ市内ホテル(セキュリティのため非公開)

 

  日程

1/13 () 21:30 羽田空港国際線ビルANAカウンター前に集合

1/14(日) 00:30 NH848便にてバンコクへ、バンコク着専用車でパタヤへ

     *パタヤ着後はホテルチェックインまで市内散策もできます。

1/15(月)~1/20(土)  キャンプ第1クール(6日間)

1/21(日)休養日

1/22(月)~1/27(土)  キャンプ第2クール(6日間)

1/28(日)休養日

1/29(月)~2/ 3(土)  キャンプ第3クール(6日間)

2/ 4(日)帰国日

*休養日は近隣コースで18ホールのプレーも可能です。別途料金がかかります。

 

  参加資格 

セルフプレー能力があり11歳~22歳の「本気で強くなりたい!」と思っている人、大学生、競技アマ、プロ含む。

 

  参加費

 
練習日数
参加費
宿泊数
フルクール

1/14入国 2/4帰国
18日間
77,600バーツ

約270,000円
21泊
第1クール

1/14入国 1/22帰国
6日間

26,200バーツ

約91,000円




7泊


第2クール

1/22入国 1/28帰国
第3クール

1/28入国 2/4帰国

1日参加(追加含む)

1日
4,200バーツ

約14,500円
1泊

*1日参加(追加含む)の場合は後泊料金が発生します。4,200バーツ × 参加日数 + 後泊1,000バーツ

*為替レートによって若干変動します。現在、円安のため明確な円建て価格は控えております。概ねの価格とお考えください。

*帰国日の朝食はホテル出発時間によっては摂れませんのでご了承ください。

<参加費に含まれるもの>

練習施設料、コース使用料(昼食込)、レッスン料、宿泊費(朝食込)、コース送迎

 

<参加費に含まれないもの>

・空港送迎 ・日本国内交通費 ・往復航空券 ・夕食及び休養日の昼食 ・旅券取得 

・海外保険 ・個別のチップ ・飲食等個人的性質の費用 ・その他オプション           

*空港送迎は乗車人数でシェアして現地で徴収します。片道  15002500B/
*夕食代金は現地で清算します。

 

  食事について

夕食は提携している日本料理店でキャンプの身体作りに役立つ特別メニューを用意してもらっています。
今回は日によっては好きな物を食べに行けるように現地清算(1回300バーツ)にします。

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毎年、時代屋では身体作りのための特別メニューを用意しています。

  保護者様の同行費用

保護者様の同行を希望される場合は以下のようになります。

宿泊11,800バーツ程度(朝食)、コース送迎1500バーツ、空港送迎は乗車人数割

  航空機について

航空機は以下の便を推奨いたします。

 

全日空(東京発)

往路 NH849 羽田発 00:30    バンコク着05:45    井上搭乗 1/14 NH848

復路  NH806 バンコク発 07:10  成田着 15:05     往復 69,200円~(10/21現在)

*航空券手配代行をご希望方はお申し出ください。

*上記以外の航空便をご利用の場合は空港送迎者を別途手配いたします。

お申し込みフォーム

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さぁ!2018年もタイキャンプからスタートだ!!

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アジアのはじめて物語

2018年度のアジアンツアーQTの会場日程が発表されました。毎年QTはタイで行われることもあり、私のところにも相談や情報を求めての質問が寄せられています。可能な限り協力するつもりですので興味のある方は遠慮なくご連絡ください。またQTはアマチュアも出場できますし、年齢制限もありませんから腕試しをしたい人も歓迎しています。もしかしたら人生を変えるようなサプライズが起こるかもしれませんよ。

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2018年のアジアンツアーのQTエントリーが始まりました

そんなアジアンツアーですが歴史は古く、スタートしたのは1950年代です。その後、様々な変貌を遂げ現在のスタイルになっています。発足当初はアジアサーキット(極東ツアー)と呼ばれていました。フィリピンやシンガポール、タイ、マレーシア、インド、台湾、韓国などを巡り、最終戦は日本で行なわれていました。1月からスタートして
毎週、アジアのどこかの国でトーナメントを戦い、約10週間10カ国目に最終戦である日本のダンロップ国際オープン(後にキリンオープン)という当時の日本ツアー競技にたどり着くというものでした。

試合のプライオリティシステム(出場権)はQT制度ではなく、前年のランキングによるシード選手、主催者推薦選手以外は大会毎にマンデートーナメントによってきまります。毎週のことですからシード権を持たない選手がマンデーから日曜の決勝ラウンドまでこなすと、翌月曜日は次戦国への移動日となるため、次戦の国のマンデーには出場できません。そこで「決勝ラウンドまで進出した選手は翌週のマンデートーナメントを免除して本戦出場」というボーナスが与えられるシステムになっています。それだけに予選2日目のラウンドは賞金だけでなく、次週の出場権もかかることになるから否が応でもテンションが上がります。賞金は日曜日の最終ラウンドが終わり、順位が確定するとその場で現金(USドル)で支払われていました。

最も辛いのがマンデー落ちの選手で彼らは自国への移動もできず、開催コースをプレーすることもできません。火曜日から金曜日までの4日間は本戦出場選手がスターした後の開催コースの練習場でひたすら打ち込みをするだけの日々を過ごすことになります。そして土曜日に本戦の予選落ち選手と共に次戦国へ移動し、日曜日に練習ラウンド、月曜日に再びマンデートーナメントに挑むことになるのです。それだけに不幸な選手になると9カ国(10カ国目の日本はランキング上位者だけしかでられない)すべてマンデー落ちで「マンデーサーキット」で終わってしまう可能性もあります。もっとも超不人気国のインドではマンデー枠も埋まらずにエントリー即本戦というケースもありました。

1990年代に入ると、フルマンデーシステムではなく年末にQTが開催されるようになりました。事務局を務めるマレーシアのジョホールバルGCで行われていました。

また最終戦の日本にたどり着いたものの、予選で落ちて賞金にありつけない欧米選手もいました。アジアサーキットの移動航空券は開幕戦となる国(ほとんどフィリピン)から10カ国目の日本までの周遊パッケージチケットなので、最終戦が終われば、自国へ帰る航空券は自己負担ですが賞金がもらえず、手持ちのお金も使い果たし、帰りの航空券費用を得るために決勝ラウンドのクラブハウス前で日本人ギャラリーに自分のクラブを売りに出す選手も数多くいて、会場の茨城ゴルフクラブの風物詩みたいになっていました(笑) って、当時は笑えない….

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数々のビックトーナメントを開催してきた名門コースはアジアサーキットの最終戦の舞台だった

当時の日本選手とってアジアサーキットは様々な意味を持っていました。日本ツアーのシード選手にとっては開幕前の調整試合、若手にとっては試合経験を積む場、そしてなによりも魅力だったのは日本のプロライセンスを持たない選手、つまりプロテストに合格していない選手には最高のプロツアー経験の場でした。というのも当時はJPGA(日本プロゴルフ協会)の会員でなければ日本のツアー競技には一切出場できなかったのです。
このアジアサーキットを統括運営していたのはAPGC(アジア太平洋ゴルフ連盟)という団体で、現在も存在します。今ではファルドシリーズ・アジア大会などジュニアの大会の協力などをおこなっています。

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ハミルトンのようにアジアの渡り鳥からメジャーを制した選手も少なくない。

1995年にAPGA(アジアプロゴルフ協会)が発足し、アジアサーキットはアジアンプロゴルフツアーへと変わります。これは欧米や豪州選手が増加したことで大会開催国の選手が減少することに主催者側が危機感を持ったからです。この当時、日本でもグラハム・マーシュ、テリー・ゲール、トッド・ハミルトン、ブライアン・ワッツといった選手がアジアサーキットから日本ツアーに定着して随分賞金を稼いでいましたね。ハミルトンは後に全英オープンを制覇しています。マーシュ、ワッツも全英で2位になっています。

世界的なスーパースターとなったグレッグ・ノーマンもアジアサーキット経験者の一人で1993年の香港オープンでは日本の金井精一プロと激闘を演じて競り勝っています。台湾の陳志忠はアジアサーキットから日本ツアー、PGAツアーとステップアップ、全米オープン2位、ロサンゼルスオープンでは東洋人と初めてアメリカ本土でのPGAツアー制覇の偉業を成し遂げています。

このようにアジアサーキットは「世界を目指す若手の登竜門」といえるツアーでした。アジアを経験して強くなるという世界的共通認識を生み出す基盤となったのは確かでしょう。

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「アジアで強くなる」は今も変わらない共通認識

そんなアジアサーキットに挑戦する若いプロを陰から支えていた人たちが数多くいました。それは現地で暮らす日本人駐在員です。現地日本法人の駐在員はアジアサーキットの週になるとやって来る日本のプロのマネージャーに成り代わり東奔西走してくれていました。インターネットもなく、情報がほとんどない異国の地に降りた若い日本人プロにとっては本当に心強い存在だったと思います。

こんな生活を繰り返すうちに本物のワイルドギース(渡り鳥)になり強くなるのでしょう。

そして2003年にアジアンプロゴルフアツアーは現在のアジアンツアーとなります。これによって当初のアジアサーキットの形態は完全に消滅しました。無名のプロにとってはチャンスと経験を掴む場がなくなったとも言えます。

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中里プロもADT➡アジアンツアー➡チャレンジツアー➡JGTOをステップアップしている

しかし近年、アジアンツアーの下部ツアーとしてADT(アジアデベロップメントツアー)が運営されています。こちらはアジアンツアーQTでプライオリティを得られなかった選手を対象に東南アジア各地で行われています。先日、日本のチャレンジツアーで優勝し、JGTOツアーでもシード定着目前の中里光之介プロもADTを2シーズン経験してステップアップしてきた一人です。

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天才パチャラは16歳でADTを制し、今はアジアンツアーにも定着しつつある

これ以外にもQTを持たずに「誰でもウェルカム!」とばかりにマンデーから、時にはサンデーから挑戦できる4日間トーナメントがアジアには多く存在します。また現在でも申し出れば協力してくれる人はいます。私もその一人です。今ではアジア各国も発展して、インターネットも普及で情報も確保でき、昔とは比べ物にならないほど参加しやすくなっていると思います。アジアの下部ツアーで強くなることをお勧めします。

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プレースタイルの確立

アジアパシフィック・ダイヤモンドカップで中島啓太くんがアマチュアではただ一人、決勝ラウンド進出しました。3日目のルーリングトラブルで順位を落としたのは残念ですが、見事ベストアマチュアを獲得しました。そんな中島くんを初めて見た時から現在まで、彼の言葉も踏まえて考えたときに「ある言葉」が頭をよぎりました。それは「プレースタイル」というものです。今回はプレースタイルについて考えてみたいと思います。

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「まだスタイルを決めず新しいものへ挑む」という部分に大きな可能性と期待を感じます

ゴルフにもプレースタイルというものがあります。ロングヒッター、ショットメーカー、パットの名手、ショートゲーマー等様々です。こういったプレースタイルはいつ頃確立されるものなのでしょうか?早いうちに確立された方がよいのでしょうか?私はジュニア時期に限らずプロしての早期の時期にプレースタイルを確立させることには疑問を感じます。

何故ならプレースタイルが確立されるということは逆にプレースタイルに縛られるリスクを伴うからです。プレースタイルはプレーヤーの伸びしろの一つが塞がるたびに出来上がってくものであり、確立されたプレースタイルを持つのは「プロとしての成熟期」になってからだと思います。

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Lドナルドが「パット名手」と言われたのは30代半ばになってから

80年代後半から90年代にかけ、メジャー6勝を誇り「稀代のショットメーカー」「ベンホーガンに最も近づいた男」と言われたニック・ファルドについてコーチだったデビット・レッドベターは当時「出会った頃のニックのパッティングは一流、でもショットは5流の選手だった。」と語っていました。レッドベターはファルドに最も適したスイングを提案したことで、驚異的なショット力を獲得して伝説となったのです。昔、来日した時に生で見たけどあのストレートボールはヤバすぎ(笑)


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ファルドは「5流のショット」と言われた時点でメジャーを制していた

プレースタイルは最初に決まるものではなく、プレーヤーがコースと対峙したときに直感的に感じたものと経験則によって出来上がると思います。つまり「極限の緊張感での試合経験」とその結果からのフィードバックが繰り返されることで自分のプレースタイルというものが確立されてくると思うのです。

そのためには自分の短所や欠点と向き合いつつも「今は何をすべきか?」ということを常に考えた取り組みが必要なのは言うまでもありません。長所を伸ばすのも、短所を克服するのも、新たな技術を獲得するのも数カ月でできるものではないからです。プロのショットは試合の緊張感の中でしか完成することはないのですから....

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「未完成のまま進む」こそが大きな才能なのかもしれない

完璧な練習とは?

「練習場シングル」という言葉を知っている人は多いと思います。練習場では素晴らしいショットやテクニックを見せるのにコースに出ると別人のようにダメになってしまう人のことです。

多くはメンタルの問題とされていますが、マーク金井氏は自身のブログで練習場シングルを以下のように分析しています。

練習場シングルな人の共通点 その1
練習場はノープレッシャー
コースに出ると過緊張(プレッシャー)
練習場シングルな人の共通点 その2
練習場では構えてから打つまでの時間が短い
コースでは構えてから打つまでの時間が長い

要するに練習とコースとの緊張感の違いから、充分な集中とルーティンが成されないまま反復していることが実戦での弱さになってしまうということでしょう。

私も全く同感です。しかし、私はこの現象の理由を「それがゴルフというものである」と考えます。つまり「真面目に練習すればするほど練習場シングルになりやすいし、それはシングルやドライビングレンジだけでない」ということです。

練習シングルだけでなく、練習場プロ、練習場世界ランク1位だっていると思いますし、練習場だけでなく、練習グリーンシングル、練習グリーンプロ、練習グリーンルークドナルドだっているはずです。この現象は「努力も実力も足りている人である」ことが条件であり「練習での実力を発揮できない」ということが問題なんですね。練習で集中力を高めて難易度の高いストロークを成功させたとしても、そこに実戦のイメージやモチーフ(動機)がなければ本当に「練習」でしかないのです。

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練習中でも試合のような雰囲気を周囲に漂わせている選手は絶対に強い

横浜カントリークラブで行われたアマチュア選手権は雨の試合となった。同クラブの練習場は2階建てで、出場した選手は皆、屋根のある1回打席で練習していた。ただ一人、アマチュア最強の中部銀次郎氏を除いて。中部氏は「雨の中の試合が確実なのに濡れないで練習しても意味がない」と言っていました。常日頃から中部氏は「今日は練習、今日は本番。今日は接待、今日は試合などという使い分けが私にはできません。いつだって必死なんです」と語っていました。

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アマゴルフのレジェンドは「練習なんだ」と考える余裕はないと言っている。

「練習の中に実戦の緊張感を持たせる」という方法を用いていた幾つかの例があります。全盛期のジャンボ尾崎は普段のプレーでしばしば「さぁ!ジャンボ尾崎、最終18番のティショットです。このパー5でイーグルを決めれば逆転優勝….」などと呟きながらショットしたりしたそうです。インタビューではジャンボ自身が「この練習方法は長嶋茂雄さんから教わった、こうすることで本番でもポジティブな思考でプレーできるようになった」と語っています。

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「練習中でも優勝争いする自分」を常にイメージすることで本番で生きる練習をしていた

その長嶋茂雄さんの現役時代の練習方法と言えば、バッティング投手の投げた球をフェンス越えのホームランを1本打ったら「よし!今、阪神の村山投手から9回裏でホームラン打ったから今日は終わり!」というものでした。反面、納得がいかないと帰宅後も庭で4時間以上素振りをしていたそうです。

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練習中も頭の中は常に「9回裏2死満塁」だったから本当に打てた

「本番に強いアスリート」の共通項は「練習と本番の区別がない」ということです。「練習ではできるのに、本番ではできない。」という問題の根底に潜んでいるのは「常に本番を想定した練習ができているか?」ということだと思います。

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どんな優れた練習メソッドもそこに「実践の緊張感」がなければ生きてこない

「練習によって完璧を求め成功したゴルファー」の代名詞であったベン・ホーガンは練習で完璧を求めなくなってからメジャーで勝てるようになり、キャリアグランドスラムを達成したのは事実なのはあまり知られていないと思います。
「本調子ではないときでも自分には実力があると感じられ、以前より自信を持ってプレーができるようになった、ショットが安定し新境地が開けたのである」 とベン・ホーガン自身が語っています。

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練習で求めるのは完璧ではなく感覚であることを知った途端にメジャーで勝てるようになった

実戦を意識した練習だからこそ、完璧を求めず感覚を磨くことができ、本番に強くなれるのです。これこそ「練習はウソをつかない」ということではないでしょうか。練習の結果で目を向けるのは「最高の出来」ではなく「本番でできる事」であるべきなのです。

特別強化キャンプin NIIGATA

今年最後の新潟キャンプです。

日程&参加費
10/16 新潟サンライズGC   9:30開始   10,800円(昼食込み)
10/17 ヨネックスCC       9:00開始  10,800円(昼食込み)
10/18 ヨネックスCC       9:00開始  10,800円(昼食込み)
10/19 ヨネックスCC       9:00開始  10,800円(昼食込み)

*プロの方は別計算になりますのでフォームでお問い合わせください。

宿泊費
10/15 6,480円~ 朝食付
10/16 6,480円~ 朝食付
10/17 6,480円~ 朝食付
10/18 6,480円~ 朝食付


申し込みフォーム
PC
https://www.secure-cloud.jp/sf/1504567578QCFiceoQ
スマホ
https://www.secure-cloud.jp/sf/sp/1504567578QCFiceoQ

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Yipsを考える(技術編)

前回はイップスをメンタル面から考えましたが、今回は技術面から考えてみたいと思います。

「イップスは覚醒水準の低い種目で発症しやすい」という考察をデータから導きましたが、技術的にもイップスになる傾向がありました。それは「目標に対して正対せずに半身のスタンスポジションになると発症しやすい」ということです。

前回も紹介した弓道、アーチェリー、射撃のほかにテニスのサービスなどもスタンスポジションが目標とは正対していません。

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目標と身体のラインが正対しないこともイップスと関連しているかもしれない

サムスニードもイップスに苦しんだ1人でした。その彼が試行錯誤の末に編み出した「サイドサドルスタイル」というパッティングフォームは体がカップに正対するスタイルでした。彼はこのスタイルでPGAツアー82勝という金字塔を打ち立てますが、途中でこのスタイルを封じるためにR&AとUSGAによって「ラインをまたいでストロークを禁止する」ルールまで作られるほどでした。これは昨今のアンカリング問題なども同様ですから、ゴルフ規則が好結果に対しては厳しい流れがあったのはこの時代からなんですね。

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イップスを克服したサイドサドルスタイルでPGAツアー82勝をあげた。

パッティングだけでなくアプローチにおいてもイップスになることを「アプローチイップス」と呼んでいます。過去にアプローチイップスの修正を何件か行ってきましたが、ここにもスタンスが飛球線と並行のプレーヤーに発症する傾向が目立ちました。目標に身体が正対しやすくなるオープンスタンスを適用するとかなり改善がみられました。ということはオープンスタンスはイップスにある程度の効果があると考えてよいようです。

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アプローチイップスではオープンスタンスへの変更で改善された例が多いのもサムスニードの事例と酷似している

またイップスの原因には「リストストローク」もあるようです。特に高速グリーンが少なかった昔はパッティングで手首を使うリストストロークのプロも数多くいました。動画はピーターアリスという1950~60年代にかけて欧州ツアーで活躍したイングランドのプロとアリソン・リーという現在もLPGAで活躍する女子プロのパッティングを比較したものです。コメントでは「アリスは左手首を柔らかく使い、リーは固く使う」とコメントしています。これは年代の違いから主戦場となるグリーンスピードに差があるのが大きな要因です。

Peter Alliss vs Alison Lee Putting
タイトルをタップするとYouTubeで動画が見れます

問題なのは現代的なショルダーストロークよって手首の動きを制御する行為はパッティング自体の精度を高める上では効果的な反面、人体構造から考えると感覚も封じられるためにいわゆるノーカン状態に陥った時にパンチが入るイップスの症状を引き出すことも考えられます。

昨今、欧米の有名コーチの多くがこの症状に対して右手首の動きがストロークの運動に介在しにくい「クローグリップ」や「クロスハンドグリップ」の採用を提唱しています。

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昨今ではクローグリップの採用がイップスに効果があり、海外ではショートチッピングでも推奨するコーチが多い

こういった観点からみるとイップスには「オープンスタンス」と「グリップチェンジ」は効果がありそうですし、イップスでなくとも向上や改善が期待できる要素ありとみてよいでしょう。

そしてトラディショナルなスタイルから一歩踏み出してトライすることはメンタル的にもイップス封じになるのかもしれません。

ちなみに私はイップスの経験はありません。アプローチはオープンスタンスが好きでオープンフェースは嫌い派ですし、パッティングは自分で「上手い!」と言い張り、入らないのは「カップが動いた!」と言い張ってましたから(笑)

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