fc2ブログ

AJGA河口湖キャンプ参加 -夏合宿シリーズ.2-

8/14~16 山梨県の富士桜カントリー倶楽部、鳴沢ゴルフクラブで行われたアジアジュニゴルフ協会の「河口湖サマーキャンプ」にチームNGAジュニアの竹本梨奈、山崎花音が派遣参加してきました。同協会は石川遼、薗田俊輔、宇佐美祐樹他多くの有名プロを育てた吉岡徹治氏が主催しており、現在も日本アマチュア2位の中島啓太くん、世界ジュニア優勝の清水蔵之介くん、同大会日本代表の高木美佑さんら日本のトップジュニア選手の多くを育成しております。

6584556ajga.jpg
世界ジュニア代表の高木さん、日本アマ2位の中島君、世界ジュニア優勝の清水君。AJGAには日本を代表するジュニア達が集っている

8/14は「フジサンケイクラッシック」の開催コースである富士桜カントリークラブで強化練習を行いました。吉岡氏の教え子でもある薗田俊輔プロが講師として招かれ、プロ自らバッグを担いでジュニアと共にプレー、プレー後は選手への指導やジュニア時代のレクチャーを行いました。

ajga02.jpg
AJGA主宰の吉岡氏と教え子の薗田俊輔プロ
ajga04.jpg
シード選手の薗田プロも自らバッグを担いでジュニア達とプレー。こんな素晴らしいお手本はない。

8/15、16は「大東建託いい部屋ネットレディス」の開催コースである鳴沢ゴルフクラブで実際に使われたトーナメントティからプレー。また練習場においてプロも利用する最高レベルのカスタムショップ「EVEN LAVO」によるクラブフィッティング。Rマキロイ、Tウッズ、松山英樹ら世界のトッププロにとって必須アイテムとなったショットアナライザー「トラックマン」によるショット分析は吉岡氏が自ら機材を操作して行います。ちなみに元物理教師である吉岡氏はトラックマンデータの分析に関しては日本でも屈指と言われています。

分析を受けた竹本、山崎の両選手も吉岡氏が「トラックマン」のデータを見ただけで日常のミスショットの傾向まで言い当てるのに非常に驚き、自分たちの向上への大きなヒントをつかめたようです。二人共、ドライビングディスタンスが突然25ヤードも伸びた。

ajga07.jpg
トラックマンで「スイング」ではなく「ショット」を分析することで選手が自分で修正点を見出すことができる

「アジアジュニアゴルフ協会」のキャンプでは、これ以外にプロコーチ植村啓太氏によるスイング指導、大塚製薬による栄養補給指導、有名フィジカルトレーナーを招聘してのトレーニング等、トップアスリートを目指すジュニアゴルファーにとって最高の指導スタッフと環境を吉岡氏のプロデュースにより実現しています。

またプレーペース等も「コースの営業には一切迷惑をかけない」という意識の元、ハーフ2時間以内は絶対厳守であり、そのなかにも「後続には絶対追いつかれない」「一般組が先行の場合はつかず離れず」という厳しい条件でプレーしているため、プレーペースが非常に早く、NGA合宿では手本となっていた花音や梨奈ですらついていくのが大変なほどです。

そして育成指針にしても「チームリーダ制」を採用することでジュニア達の自主的な行動で運営されている点は非常に勉強になりました。この部分も含めて私の報告より、選手自身の感想文を見ていただくのが良いと思います。以下は参加した2名の感想文です。

ajga18.jpg
AJGAメンバーのプレースピードに当初は二人共ついて行くがやっとだった



梨奈ちゃんの感想
三日間の合宿を通して様々なことを学び、はじめてのことをたくさん体験しました。まず初めにミーティングがありました。そこでは今日のチームリーダーが注意事項や、予定、マナーの確認などをいい、みんなの先頭にたっていました。チームリーダーの行動力はとてもすばやく、大人対応でてきぱきとしていて関心しました。このまえ新潟でやった合宿ではみんなの行動がまとまらず、うまくできなかったのでこのシステムを参考に使えばAJGAのように大人数でもまとまった行動ができるのかなとおもいました。行動力を活発にできることができればゴルフの上達にもつなぐことができるとおもいます。
1日目は富士桜とゆう、超名門コースでできうれしかったです。午前のハーフはランニングでまわり、一時間以内でまわるとゆう、少しきついことでした。午後のハーフとの間にドライビングレンジで練習をし、十分な練習時間あり、とても良い環境でした。
夜ご飯はバーベキューでみんなと仲良く楽しく食べることができ、終わってからは花火をしてとてもいい思い出になりました。ゴルフだけでなくお楽しみがあるので一日が頑張れました。二日目三日目は鳴沢でまたまた超名門でした。なかなかこんなコースでまわる機会はないので貴重な機会をあたえてもらえてうれしかったです。
私がこの合宿で大事だと思ったことは食事です。朝からおにぎりふたつにお昼もしっかりのこさずたべ、夜もボリューミーできつかったです。みんなはご飯山盛りにおかわりもしていて驚きました。自分はそんなに少食ではないとおもってたいのですが、まわりの子にくらべたらぜんぜん足りないということがわかり、これからは食べることも強くなるためのトレーニングだと思い頑張ってたべたいと思いました。
友達も増え、視野も広がり、必要な知識を取り入れることができ、とても濃い三日目でした。この経験を行かして、少しでもワンランク上の自分に近づけたらいいなとおもいます。また機会があればぜひ参加したいです!!!!こんな機会をつくってくださってありがとうございました!

hjnga5846541.jpg
花音、梨奈もさすがは我がNGAの選抜選手。2日目にプレーペースに慣れて溶け込んでいた。
ajga13.jpg
バーベキュー等、食事が充実しているおかげか、選手に体格が非常に良い


花音ちゃんの感想
AJGAのキャンプに参加して思ったことは、あさにミーティングがありそれを運営するのも子供たちで大人は最後に話をするというスタイルがすごくいいと思いました。子供たちがやることによって挨拶や礼儀とかが大人に言われるよりもより伝わりやすいんじゃないかと思いました。
1日目は前半の5ホールをランニングで回り1時間でまわるというきついゴルフでしたが同じ組みのメンバーが面白くてつかれたけどとても楽しかったです。組み合わせがハーフで変わるというのも初めてだったので3日間だけだったけどたくさんの人と一緒に回ることが出来ました。
私がこの合宿で1番大変だったことは食事です。朝から大きいおにぎりを2つたべなくてはならなくて、私もそんなに食べない方ではないんですがさすがに大変でした。今、考えてみると毎日必ずお肉を食べてたなと思います。
夜ご飯を食べたあとは花火をしたり肝試しをしたりたのしかったです。
私はこの3日間の中で日本アマ2位だった中島啓太くんと回ることが出来ました。どんなプレーをするのかなとおもってみているとやっぱりパターが上手だなと思いました。どんなに長いところからでも、1パットめで次は絶対に入るだろうと思うところまでよせてくるので流石だなぁとおもって、まわっててすごい勉強になりました。
コースも3日間とも名門コースを回ることが出来てよかったです。テレビでみていた「いい部屋ネットレディース」をやった鳴沢カントリーを実際に自分が同じティーグランド回ってみてやっぱりむずかしかったです。スコアが全然出ませんでした。そんなコースで何アンダーもだせるなんてやっぱりプロはすごいなと回りながらおもってました。
この合宿に参加することでたくさんのことを知り学ぶことが出来ました。またできたら参加したいとおもいます。本当にたのしかった3日間でした。

ajga11.jpg
リーダーシップ制により、ジュニア達が自分でアカデミーを運営している
56985652koutgf5.jpg
NGA屈指の「不思議ちゃん」梨奈もなにかを掴んだようです

今後とも海外遠征やキャンプのコラボ。来シーズンにはAJGAを新潟に招いての合同キャンプを行ってみたいと思います。吉岡さん今後ともよろしくお願いします。

ajga03.jpg
AJGAの皆さん、ありがとうございました。またタイやキャンプでお会いしましょう!!

NGAジュニアサマーキャンプ -夏合宿シリーズ.1-

新潟県ゴルフ連盟ジュニア研修会としては初のサマーキャンプ。小学6年生から高校生までを対象にYONEXカントリークラブでおこないました。
ジュニア会員の研修会は日帰りで行ってきましたが合宿形式で行うことで様々なものが見えてくると思います。とはいえ、あまりの低年齢はまだ時期尚早ということで小学6年生以上という括りで集ました。結果、チームNGAのメンバーを含めて15名のジュニアが参加すことになりました。

13時に集合したメンバーは練習場で練習の後、9ホールのプレーを行います。今回は初回なので極力様子を見ることに専念します。

11811494_699872263452781_3256141713501391267_n.jpg
ジュニア研修としては初めての合宿なので、花音らタイ合宿経験メンバーを手本にさせたい

ジュニア研修会では特に「目土、ピッチマーク修復の徹底」「スロープレーの防止」は重視しています。初回から目土に関しても厳しくしているのですが「見ていないところでは目土をしない、目土袋を手に持たない」ジュニアがいます。実はこういったジュニアは初中級者ではなく、上級者に多く見られる傾向です。

またスロープレー防止のために「乗用カートの使用時でもホールインターバル間以外は乗車禁止」「インプレー中にプレーに関する以外の会話は禁止」というルールも強いてきました。リモコン式の乗用カートは速度が遅いために、カート乗車をしていると必然的にプレー速度が遅くなりがちでジュニアゴルフにおけるプレーペースの目安9ホール2時間を下回ることが困難になります。またプレー中のお喋りに夢中になり、進行に影響が出たりします。

目土とプレーペースの指導を徹底してみてわかったのがジュニアの多くが「日常のプレーにおいて、これらの意識を持ったプレーできておらず、ジュニアゴルフファーというより、一般的なアマチュアプレーヤーのゴルフスタイルになっている」事が実感できました。

この日も、上記の2点には注意をしていました。かなり改善されており、決められた規則の中で、円滑に真剣かつ、楽しくプレーしている様子でした。

11207326_700370263402981_1401814130869329643_n.jpg
高橋夢人はこの後、県ジュニア優勝、県アマチュア選手権では3位と急成長

また、通常の研修ではスコアの記録は「アテストシステム」を採用していますが、ここにも追加規則で「各ホールインターバル間でマーカーとプレーヤーはスコアを確認して記入する」と「マーカーは『今のホールいくつ?』というHow manyはNG、『今のホールはボギーだったよね?』の確認式にする」ことを取り決めています。これは「スコアの改ざん防止」の意味があり、ジュニア育成と「スコア改ざん」はセットになっていると言って良いほど多くあります。もちろん、改ざん行為を行うジュニアとそういった行為を行わざる得ないゴルフ観を押し付ける大人にも問題があるのは当然ですが、もう一つ大きな問題は「チート(不正)できるゴルフ環境」にも問題があるのです。ジュニア同士のカップリングでは多くの子供が好スコアを求めるあまり、同伴者のプレーは全く見ていないという状況が生まれて「不正する機会に恵まれる!?」という事が起こっているのです。「自分さえ良ければいい」的な意識から、他人に無関心になり、マーカーの責務である担当するプレーヤーのプレーを見守るということができない子供が多かったのです。これらの取り決めによってプレー自体は随分と改善されてきました。

33666548523654789.jpgプレーペース、目土補修、マーカー責務等、ラウンド能力は全般に向上してきた。だいぶ厳しく言ったから、子供達はウザそうだが(笑)

ただ、外見上の改善では充分ではないと思います。上記の目土、不正といった問題は「人が見ていなければ・・・」「誰も見ていない・・・」という意識の環境の産物で、これらは「ゴルファーとしてのプリンシブルとプライド」の育成を更に強める必要性を感じました。

11813376_700163586756982_104513473209096372_n.jpg
合宿においては寝食を含めた生活指導がゴルフ向上に結びつくことが実感できる

しかし、こういった部分は短時間に改善できるものではないので、合宿という手法を用いて日常生活面から、新たな修正課題を見出すことにしたのです。9ホールのプレー終了後の練習は日没まで時間の許す限り、各自自由に行わせました。ここまでの研修成果で各自が自分の課題に対した練習を行っています。

しかし、ここで大きな問題を発見します。それは「返事」がきちんとできない子供が少なからずいます。おそらく日常生活においても「あいさつ」「返事」というものをさほど重要に感じていないのでしょう。これは今後の課題のひとつになりそうです。

2日目のラウンド研修では初日不参加の11名が加わり26名の参加となりました。こういった大所帯のジュニア研修の場合は実力上位者と下位者の開きが非常に大きくなります。ただ、ジュニア期の実力差は「日常のゴルフへの取り組み」の差と比例しています。月に1、2度程度の研修のときだけクラブを持つようなプレーヤーと日常的に練習やラウンドを繰り返しているプレーヤーには1、2年で大きな開きが生まれてしまいます。さすがに日常的な指導を全員に行うことは不可能です。こういった部分は保護者の協力が不可欠となります。特に競争によって力をつける男子の場合は基本的な競争力を身につけるまでは日常的な練習は「毎日が基本」と考えても良いと思います。

いずれにしても、初の合宿から今後のジュニア研修における育成指針を数多くみつけることができたのは大きな収穫でした。

11825049_700366356736705_6859854316797992768_n.jpg
この夏の大収穫は渡辺彩心ちゃん。このコは二人の兄を凌ぐ逸材かもしれない・・・何か宮里家みたい(笑)

タイジュニア選手権参戦ツアー募集

タイジュニアゴルフ選手権
タイ王国屈指のリゾート地、ホワヒンで行われる、世界アマチュアランキング対象となる国際ジュニア大会です。

出発 2015/11/1(日)  帰国 2015/11/9(月) 本戦 2015/11/5(木)〜11/8(日)

ロイヤルホアヒンGC(ホアヒン タイ)

<カテゴリー>
Aクラス男女 15歳〜17歳の部 72ホールストロークプレー
Bクラス男女 13歳〜14歳の部 72ホールストロークプレー
Cクラス男女 11歳〜12歳の部 54ホールストロークプレー

*出場資格は1997年11月8日生まれ以降になります。

9/21(月)締切 

お申し込みお問い合わせはでもOKです。
inoue1967pga@grace.ocn.ne.jp

9月度 NGA新潟県ゴルフ連盟ジュニア研修会

新潟県ゴルフ連盟ジュニア研修会
9/21(月・祝)
十日町カントリークラブ
18ホールストロークプレー
集合 7時30分
参加費 2000円(プレーフィ・昼食込み)
※規則書、目土袋を持参
9/14 締切

申し込み、問合わせ
新潟県ゴルフ連盟 ジュニア委員会 担当 田村
☎ 025-244-5621

新潟サンライズジュニアフレンドリー参加者募集

新潟サンライズジュニアフレンドリー募集
9/20(日)8時30分集合 10時30分頃スタート
参加費 2270円 プレー、昼食、練習代金込
9/13迄にお申し込みください。
※ジュニア育成の観点から目土袋の持参をお願いいたします。
※免税適用のため身分証をお持ちください。
※新潟県外のジュニアでもエントリーできます。

申し込み、お問い合わせ
新潟サンライズゴルフコース 025-256-2211 ジュニアフレンドリー担当 近藤

「進撃の外国人」たち

JGTOツアーは11戦終わって、日本選手の優勝は4人。のこり7戦は外国人選手だ。この数字だけ見れば「本当に日本の男子はだらしない!」と思う人も多い。しかし、この数字は冷静に見れば昨年のうちに予想できたことなんです。なぜなら、ツアーには「出場資格」というものあり、出場全選手がそのいずれか資格に該当するから出ています。その中でも最もポピュラーなのは「シード選手」です。JGTOでは1シーズンの賞金ランキング70位までをシード選手とします。出場試合数の制限などもありますから、繰り下がることもありますが、2014年の賞金ランキング70位以内の選手うち31人が外国人選手なのをご存知でしょうか?ついでにシードでない選手枠にQT(クオリファイイングトーナメント)がありますが、今年度の出場優先順位を決めるファイナルQTで上位70位までのうち、外国人選手は30人います。スポンサー枠や複数年シードの関係で有資格者の数は変動するとはいえ、仮に140人の選手枠でシード枠とQT枠でトーナメントを組んだ場合、約44%の選手が外国人ということになる。ある意味、相撲より凄いことになっている。女子の方も2014年の上位50位中17人が外国人選手。34%だから決して少なくない。

20141208104616.jpg
ยินดีที่ได้ชนะโปรประหยัด プラヤドプロ、優勝おめでとうございます

この現象が今流行の「進撃の巨人」のストーリーとカブってしまう。巨人の出現によって高さ50mの壁に守られて生き延びた人類が壁を破られた時に人類の存亡をかけた戦いを余儀なくされる。自ら壁の外に出ないで暮らしたくても、外の世界がそれを許さない図式になっている。「進撃の巨人」ならぬ「進撃の外国人」といったところだろう。

skiuye45874.jpg
壁は既に破られつつことに気づいているのだろうか?

日本ツアーの場合は男女ともにQTの出場資格を複雑化かつ高コスト化させることで外国人選手を出場しにくくしてきた経緯がある。しかし、近隣のアジア圏の国々の経済発展に伴い、日本のツアーに挑戦する後押しをしてくれるスポンサーが母国に増えた外国人選手が次々と流れ込んできていると思う。更に円安も手伝ってローコスト化し、日本ツアーを守ってきた「円高と高物価」の壁は破壊されつつあると言っても過言ではない。

55556654kaf.jpg
巨人達は次々と押し寄せてきます

そんな日本にだって、外の世界に自ら出ていく「調査兵団」はいる。松山、石川、宮里・・・ここに異論もある。「彼らは日本で結果を出して、それを資本にして海外に出ている。」というものだ。では塚田、川村、今田はいかがでしょうか?女子ならば野村、宮里美香。いずれも日本ツアーで大きな結果を出さず、海外にでて戦っています。

qt89874563.jpg
もう、外に出るしかないんです。すでに出て戦おうとする「調査兵団」もいるんです。アジアツアー・ファイナルQTより

そう言った意味で、海外で戦っていくコツがあるとすれば、武器は4つ「技術、英語、お金、人脈」でしょう。プロである以上技術は絶対に必要です。しかし、ことアジアで戦い抜く技術はPGAツアー程ではありません。また経験によって得ることもできます。英語は必要でしょう。ご存知ない方も多いかもしれませんが、海外では日本人が英語を話すと、他の国の英語を話せる人より高く見てもらえることが多いです。それだけ海外では「日本人」はブランド化されており、「日本人の欠点は英語だけ」と思われているからです。

お金は必要でしょう(笑)。ただ、お金も経験値が上がっていけばコストを削減できるようにもなってきますから、通常日本人が思っている程は過剰に意識しなくて良いかもしれません。日本で普通に旅をする程度の金銭感覚で大丈夫でしょう。

人脈は大きいです。これこそが今の日本のプロゴルフが失ったものなのかもしれません。ツアーにおけるプロアマ戦でのプロの失態なども「人脈」の重要性の欠如でしょう。国内に限らず、海外でも長く転戦していると、行く土地、行く土地で世話をしてくれる人脈ができてきます。日本のツアーに参戦しているアジア選手も多くはこの感覚に丈けており、プロアマ戦では同伴したアマチュアに対するサービスで人脈を得ているのです。彼らは「トーナメントは興業であり、プロアマは主催企業の接待の場」ということを熟知しています。ここでのファン獲得が後々に自分の転戦が有利に働くことを知っているのです。プロになっても親が同行し、プロアマ戦でもロープの外側から親が支持をだして、完全に練習ラウンドしていた日本人プロを見たことがありますが、現在、下部のツアーですら名前を見なくなりました。

tyuio68958544.jpg
アジアを回る、この日本人プロとプレーした方は大ファンになり、このメーカーのクラブの購入まで考える

でも、それ以上に必要なのは「勇気」「ポジティブ」かも知れません。「進撃の巨人」のエレンのように、常に外の世界に憧れて、その場にとどまる事を良しとしない気持ちは必要でしょう。その勇気を支えるのは徹底的なポジティブさだと思います。

つまり、壁の外で戦い、生きていくには「ゴルフの実力」だけでは無理ということです。「ゴルフ能力」以上に「ツアー転戦能力」が要求されると思ってください。それでも諦めずにポジティブに壁の外に出る勇気を持ってください。もう、壁は破られて巨人たちが押し寄せています。今度はこちらから仕掛ける番です。

ゴルフのアマチュアリズム

よく「○○さんはアマチュア選手権に出場しているのに生徒を集めてレッスンしている」「プロでもないのに・・・」とか「お金を受け取った・・・」という話をきく。そこには「アマチュアリズム」という定義を踏まえたうえでの疑問があると思う。そもそもアマチュアリズムとは何でしょう?

ゴルフアマチュア資格規則の定義には
1 アマチュアゴルファー(Amateur Golfer)
 「アマチュアゴルファー」とは、競技としてプレーするか、娯楽としてプレーするかにかかわらず、職業としてでも、金銭的利益のためでもなく、ゴルフのもたらす挑戦のためにゴルフをプレーする人をいう。

とあります。つまり職業や自身の利益のためにゴルフをすることでアマチュアゴルファーではなくなるとあります。

少しゴルフから離れてみます。英語の「アマチュア(Amateur)」の語源はラテン語で「愛する人」という意味で、1839年にイングランドのレガッタ競技「ヘンリー・レガッタ組織員会」で制定された規定で、出場資格を「アマチュア」とし、出場者を大学・パブリックスクール・陸海軍士官のようなブルジョア階級に制限することを目的にしたことが最初とされています。この時代はスポーツというものは特定のブルジョワ階級のものであったのが伺えます。

20150416ama_3380686.jpg
ヘンリー・レガッタは「アマチュアリズム」以外にも数多くのもの生んだ。「ブレザー」もまたヘンリー・レガッタから生まれている

しかしこの後、オリンピックの創始者であるピエール・ド・クーベルタン男爵が「アマチュアリズムは身分階級の差別に発するもの」とし、オリンピック起源である「古代オリンピアの祭典」において勝利者はそれを讃える月桂樹の冠以外の栄誉を受けなかったことを模して「オリンピックの参加者はスポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない」とした。これよって1901年にIOC(国際オリンピック組織員会)は近代スポーツにおけるアマチュアリズムを統一した。ここにアマチュアではないものとして

1. 金のために競技するもの 
2. プロ選手とともに競技するもの 
3. 体育教師・トレーナー 
4. マネキン的競技者

この後、3番目の条件は各国から不満が出たので条件付きでアマチュア資格を認めたそうです。

6665cuuj56954.jpg
近代オリンピックの生みの親、クーベルタン男爵はアマチュアリズムの始祖とも言える。

さて、話を戻してゴルフのアマチュアリズムもこの概念を模して制定されているのは言うまでもありません。そう言った意味では2番目の「プロ選手とともにプレーするもの」という定義はアマチュアリズムの精神から考えると「かなりキワどい!」ということになるし、これで注目を集めると3番目の「マネキン的競技者」になる可能性もある。こうなると、数あるスポーツの中でゴルフというのは最も「アマチュアリズム」に反する機会に恵まれている?種目のような気がする。それ故にR&AやUSGAはこのクーベルタン男爵のオリンピック憲章を手本にアマチュアゴルファーの定義を謳っていると思われる。だとすれば、ゴルフのアマチュアリズムの精神はゴルフ規則同様に「ゴルファーの誠実さに頼って」守られていくべきもので、「自覚に基づいて直接的にも間接的にも、そして潜在的にも利益を得てはならない」ということになりそうです。

6545222po5466.jpg
生涯アマチュアでいた、中部銀次郎氏とボビー・ジョーンス。彼らだから見えたゴルフの世界もあるはずです。

さて、アマチュア資格に関しての疑義で最も多いのが「ゴルフの指導」です。アマチュアの立場でありながらゴルフ指導に携わるという行為はどうのなのか?アマチュア規定の定義.5には

5 ゴルフ技術の指導(Instruction)
 「ゴルフ技術の指導」とは、ゴルフの実技面、すなわち実際にゴルフクラブをスイングし、球を打つメカニズムを教えることを指す。
注:ゴルフ技術の指導にはゲームの心理学的な側面や、エチケットまたはゴルフ規則を教えることは含まない。

その上でアマチュア規則の通則では

5-1 通 則
規則で規定されている場合を除き、アマチュアゴルファーはゴルフ技術の指導を行って、直接的であろうと、間接的であろうと支払や報酬を受け取ってはならない。

となっている。「直接的に報酬を受け取る」というのは分かるが「間接的」とはどういうことか?これはゴルフ場、ゴルフ練習場、ゴルフショップといった類で勤務する職員が勤務時間中にゴルフを指導した場合「給与がゴルフ指導した報酬」となるのでアマチュア資格規定に抵触する。但し、学校の教師は全体の50%未満の時間であれば指導ができる等の例外もあるが原則的にはゴルフに関わる事業所の職員が「ゴルフスイングを教える」という行為は認められていないということになります。

ゴルフ規則の「プレーに関する規則」にはAs it lie(あるがままに打つ)という基本的な原則がある。これはアマチュア資格規則に当てはめれば「ゴルフで物や金銭を受け取らない」「ゴルフの指導をしない」という2点が原則になりそうです。

そういった意味でアマチュア資格を維持することは難しいことではないが、やはり誘惑も多いのも事実でしょう。

ゴルフ規則の「ゴルフ規則はプレーヤーの誠実さに頼っている」の精神はアマチュア資格規則に極まれているように思われます。

5523ama5469874.jpg
これを守るのが一番難しいと思う

最後にアマチュア資格に疑問を生じた時、まずは統括する都道府県の競技団体に相談するのが一番である。仮に違反実績があったとしても、復帰申請の受理、承認の窓口も同競技団体が基本だから、大概の場合は一定期間を置けばアマチュア資格は復帰できます。

モニターの意味とクラブフィッティング

先日のジュニア選手権の会場でジュニアの保護者から「どうすればモニターとして用具をもらえるんですか?」と尋ねられました。

どうもジュニアの間ではモニターの認識が間違っているようですね。「競技成績=モニターになる=用具をもらえる」と思っているようです。

ハッキリ言って全く関係ありません。第一、そんな流れを作ったらアマチュア規定に違反します。まずモニターはオピニオンリーダーです。つまり「その人が使用することで周囲の人が使いたくなるような影響力のあるプレーヤー」であることです。競技成績はそのコンテンツの一つに過ぎません。ゴルフ以上に人間性や態度、将来性が大きな判断材料になります。更に用具はもらえまえせん。あくまでも無償貸与、つまり借りるだけです。使わなくなったら、返却します。ジュニアがメーカーの担当者に「アイアンください。」とか言っていますが、言葉が違います。「アイアンを使わせてください。」のはずなんです。

666633945691236478954.jpg
モニター品は「貸与」であって、「贈与」ではない。時には回収される。

また、ジュニアの親の間で「○○さんは△社からクラブ一式とウェア」「□□くんは★★社からウェア7着」などと賞品か勲章のようにモニター内容を囁いているのが、耳に入ってきます。最も呆れたのが、モニターを切られた途端に「タダだから使ってやっていたんだ!」の悪態、貸与された用具を「自分に合わない」という理由で中古ショップで売却してしますケースもあります。これらは「モニター」というものの意味を理解していない人がメーカーからの協力を受けるようになった影響だと思います。

1239609_487663148007028_1687518927_n.jpg
「メーカーが自分に何を求めているか」を常に考えて良い関係を構築できることがモニターの最大条件だと思う

特にクラブやボールというものはプレーに直接関わります。ギアのチョイス能力はコースを見極めたり、グリーンを読む能力同様に経験が大きく関係してきます。どんなに競技成績が良くても、さほど多種のクラブを手にした経験のないジュニアがモニターとなることで自らの選択肢を狭めることにならないのでしょうか?

モニターは各社のオピニオンたる、看板契約プロとは違います。そのクラスのプロであればメーカーも選手に合わせたプロトタイプ(試作品)を作ってでも選手の成績向上をしようとします。「○○プロ、○○オープンで今季4勝目!!」のキャッチは絶対必要ですから。モータースポーツで言う「ワークス」の考え方です。「社外秘たるプロトタイプを用いてでも勝利に貢献する」というはメーカーの純粋な姿です。

モニターはモータースポーツで言えば「プライベートチーム」です。市販ベースのものを運用して戦うだけに自身の用具に対する知識や感性も非常に重要です。万が一にも偶然、間違ったスペックを手にして、何も分からずに使い続けたらどうなるでしょうか?それを提供した全てメーカーの責任にするのでしょうか?

ゴルフ規則によりゴルファーには自分の使用するもの全てに自己責任を持つという基本概念があります。例えばメーカーが間違えて高反発ドライバーを渡してしまい、それが試合中に発覚したことで競技失格となったとしても、それはプレーヤー自身の責任なのです。一人前のゴルファーならば手渡されて手にした瞬間、あるいは打った瞬間にその違和感を感じれるようになるべきです。かつて中嶋常幸プロは1gのヘッド重量の差を感じ取って作り直しを要求したそうです。

ph04.jpg
本当に納得のいくフィッティングをしたクラブでなければ感性も磨かれない

国際大会やキャンプでお世話になっているK氏の話では、タイのジュニア達はナショナルチームでもメーカーのモニターをしている選手はほとんどいません。バンコクにある大手のゴルフショップが選手の成績や力量に応じてサポートしているそうです。それだけにクラブ等もメーカーがバラエティに富んだフィッティングになっているようです。昨今ではカスタマイズ性の強いフォーティーンやロマロ等に人気が集まっているそうです。タイでは「モニター使用はプロになってから」という考え方が一般的なので選手たちも率直に自分の使いたいクラブを使用しているそうで、現在LPGAツアー活躍して上位に頻繁に顔を出すようになっても未だにクラブ契約は本人の意思でしていない選手もいるそうです。日本でもかつて服部道子プロ等「使いたいクラブを使う」という理由で使用契約を結ばなかったトッププロが多くいました。

I987655550512.jpg
タイはもちろん、海外ではジュニアモニターはほとんどいない。彼らは用具に関してもジュニア期に学んでいる

「刀は武士の魂」という言葉がありますが「クラブはゴルファーの魂」だと思います。戦地に赴く武士が刀鍛冶に渡されたクラブを見もせずに使うでしょうか?だからモニターとなる前にクラブに対する知識や感覚、自分のジャストスペックを客観的な数値ででも知っておく必要性もあると思います。

最後に「ここで調べれば間違いない」というカスタムショップを紹介します。「EVEN GOLF LAVO」というゴルフ雑誌EVENが運営するカスタムショップです。元メーカーのレジェンド級のカリスマクラフトマンが多く在籍し、使用しているクラブをあらゆる方法で分析してフッティングしてくれます。クラブのフィッティングだけで9,000円の料金がかかります。「えぇ~!?何にも買わないのにお金取るの?」と思われるかもしれません。そうではありません。本当に自分に合ったものが何であるかを確実に知るためには絶対に必要なことだと思います。現役プロやトップアマの多くも利用しています。

logo.jpg
http://www.evengolflabo.jp/

目標設定と負荷のバランス

「層の厚さとレベルの高さ」でも書いたが「数の増加」=「層の厚さによる負荷」=「レベルアップ」になるというのは短絡的だといったが、「過剰な負荷」と「飛距離信望」という考えの因果関係がプレーヤーの成長そのものに影響しているような気がする。

「負荷をかけることで成長できる」という観点がジュニアゴルフにおいて最も大きな影響を与えているのが「使用ティ」の問題だと思う。特に身体的な成長期にある小学生、中学生時期の使用ティは重要だ。

身長130cm程度でジュニア用のクラブしか使用できない体格ではレディスティでのプレーでも距離が長い場合が多い。それはクラブの持つ距離的な限界性能がドライバーで150ヤード程だからだ。ご存知ない方のために補足しておくとジュニア用のドライバーのヘッドはその多くが反発力に優れたチタンではない、コストパーフォーマンスに優れたアルミである。つまり体積が同じでも距離性能は大人用のクラブヘッドに劣るのである。

1560643_659411290832212_8056011869243573673_n.jpg
ジュニア期に過剰な負荷をかけると後で伸び悩む可能性もある

ここで「ジュニアの成長とクラブと練習と」でも書いた体格的に無理なクラブを使用するという「負荷」がかけられるケースが多い。しかし、このケースならばクラブに負荷をかけるより、ティポジションを前にする。つまり「ティグランドから第1打を打つ」という概念に縛られなければ良い。例えばフェアウェイの平らな場所で、子供がナイスショットをしたら次打でグリーンオンが狙える距離が残る場所からティショットをさせれば「パーオンしてバーディー狙い」という感覚は早く掴むことができる。そう言った意味では幼児期にはショートコースなど使用するのが理想だ。

宮里藍や宮里美香を育てた沖縄県のゴルフ事情は四方を海に囲まれた限定的な土地のため本格的な18ホールのゴルフコースは幼いジュニアたちにとって敷居が高く、彼らの大部分がショートコースやミドルコースと呼ばれるミニコースで腕を磨いてきた。石川遼、池田勇太も少年時代はショートコースで腕を磨いたのは有名な話である。そして、これらが「ショートゲームのスキル向上」という部分に大きな役割を果たし、成長による体格が飛距離をもたらすことでプレーヤーとして成功したといえる。

10157155_639897486116926_5317885362007659670_n.jpg
ショートゲームスキル向上=レベル向上であることを忘れてはならない

現在のトップジュニアの中には「小学校低学年ころから大人顔負けの飛ばし屋」「小学4年、キャリア6ヶ月で飛距離200ヤードだった」などという経歴の持ち主が多いのは、「コースの距離が長すぎるために体格がよくて飛距離の出る子供の方がゴルフを面白く感じ、戦略を早くに学習できるので上達速度が向上する」という部分と「飛距離がでるのでバーディー奪取の要がショートゲーム向上に起因することで本質的なアンダーパーのゴルフを早い時期に学ぶことができる」というメリットがある。

11202623_661512500622091_1462502564801982927_n.jpg
早時期にロングヒッターになったジュニアはショートゲーム自体の経験数が増えるので必然的に伸びる

「使用ティ」に関する考え方も「上級者=後方のティ」という考え方が過剰な負荷を呼んでいると思う。充分な飛距離と実力が備わらないうちに「中学生になった」という理由だけで赤ティから白ティに下がる子供がほとんどである。

しかし「チャンピオンになるゴルフ」を目指すのであれば、年齢に関わらずもっとも優しいティから60台のスコア、つまり3アンダー以上がでるまで続けても良いと思う。できることなら10Rの平均スコアがアンダーパーになるまで続けさせても良い。

たとえ赤マークでも60台のスコアを安定してマークするには相応のショートゲームとパッティングのスキルが要求される。そのスキルはフルバックティから60台を出すために必要なものと大きな違いはない。状況に応じたスピンコントロールや的確なパッティングが必要なのだ。

しかし残念ながら幼児期からゴルフを覚えても70台のスコアでプレーできるようになった辺りで白マークに下げてしまうケースが多い。何故?という問いには「いや、だって70台プレーできるんですよ?凄いじゃないですか!もう白マークで大丈夫でしょう。」つまり、70台というスコアが好スコアであるという目線から出された判断である。実際には飛距離によるアドバンテージによって出されたスコアである場合が多く、しかもオーバーパーのスコアであることに違いはない。つまり「ショートゲームスキルは将来的に期待できる水準には到達していない」という判断なのだが・・・

11800150_694973220609352_3643710309376731753_n.jpg
ティポジション=実力とは言い難いのを忘れてはならない

しかし、赤マークから70台でプレーできるようになっても、白マークに下がらずに続けていても伸びない場合もある。10歳を過ぎたあたりから、子供の心理面に「ゴルフと自分の位置づけ」というものが結びつき始める。つまり大人の反応を見ながら「どの程度のスコアを出せば大人が納得したり、褒めてもらえるか」という心理が芽生え始めるのだ。こうなるとゴルフのスコアメイクの目的に方向が違うものになってしまい、70台は頻繁に出るが大きな成長を遂げられない可能性も出てくる。この場合は一時的にだが白マークを経験させる。つまり「負荷が有効」となるタイミングである。これによってスコアよりショットやパット自体の精度をより高める意識を持てるようになったら、再び赤マークに戻ってアンダーパーを目指せば良い。つまり「目標レベル設定の低下よるマンネリ化防止」のカンフル剤である。実際に高い目標設定でプレーできている子であれば必要ない。

また、大人とさほど変わらない自己分析能力がつく高校生くらいになると練習やラウンドの姿に「覇気」がなく、ただ日常的に練習と試合を消化しているようなプレーヤーを少なからず見受けられるのは、往々にして負荷をかけすぎたか、逆に負荷が軽すぎてマンネリ化してしまっているどちらかである。完全なプラトー(高原状態)である。この方法はこのような中高校生の不調やスランプ脱出にも役立つ。

こういった意味でも日々の目標スコアと負荷のバランスを常に考え、それを達成するための練習をすることはジュニアとって非常に重要になってくる。

最後に今年の日本女子アマチュア選手権で準優勝した王天妤ちゃん。小学校時代は私のもとで練習していたジュニアの一人だが、当時、彼女をサポートしていた彼女のお母さん言った言葉は本当に印象に残っている。

「私は彼女にどんなプレッシャーとモチベーションを与えるか?ということを毎日考えています。彼女にとってゴルフはまだ『楽しいもの』ではないかも知れません。でもプレッシャーとモチベーションのなかで成長すれば大きな成果を得られます。そのとき彼女はゴルフが好きになれると思うのです。」

4年たった今、その負荷と目標は大きな結果なって表れたと思います。

11537705_681846778588663_7716209152301121393_n.jpg
プレッシャー(負荷)とモチベーション(目標)のバランスをとって成長した天ちゃん

続きを読む»

層の厚さとレベルの高さ

現在の女子ジュニアで1998年生まれは「日本女子ゴルフ界最強」と言われている世代だそうで、彼女たちが規定年齢に達する2年後のLPGAプロテストは「史上空前のハイレベル」が予想されるという。確かに前後の年代も含めると、その層の厚さはジュニアを見てきた私の目から見ても凄い。

しかし、ある疑問もある。「層の厚さは本当に、レベルの高さとリンクするのだろうか?」という点である。

9996665654.jpg
国際大会では、そんな世界のトップクラスの選手とプレーでき、差がはっきりとわかる。

例えばマラソンという競技がある。マラソン選手にも個々に「持ちタイム」という能力指標が存在する。仮に持ちタイムが2時間5分の選手をトップとして、そこに2時間10分の持ちタイムの選手が続こうとした場合。この持ちタイム5分差の間に4人の選手がいた場合と、40人の選手がいた場合では人数が多い方を「層が厚い」と考える。しかし、2人の選手の持ちタイムの差は層とは関係なく5分でしかない。

しかし、この場合は追う側の選手の心理は大きく変わると思う。トップとの間の人数が少ない選手は「頑張ればトップに追いつける」と明確な目標を持ってペースを上げることができるし、苦しくてもトップの背中が見えれば頑張れるだろう。逆に差が同じでもトップとの間に数多くの人間はひしめいていれば、前を行く人を抜いても抜いてもトップは見えてこない。心理的にも相当な疲労感に襲われてくると思う。

5698566666.jpg
トップのとの差がハッキリしないと苦痛が襲ってくる?

ゴルフの一試合で考えた場合でも「首位と5打差の3位」の場合と「首位と5打差の30位」では、精神的に差が付いてくるのは当たり前のように思える。

実は昨年来の日本女子アマチュア選手権では上記の世代の選手たちがしのぎを削って優勝を争っている。しかし気になったのは最後まで優勝を争うベスト4辺りになると東北や関西、九州の選手が目立ち、この世代で最も層が厚い関東地区の選手の姿が全体数の割には少なくなっている気がするのだ。

他地区と比べた場合だが、関東地区の選手層の厚さは凄まじい、前年まで日本アマの決勝マッチに残った選手が翌年には関東アマを突破することすらできない事態が珍しくない。

第三者的に「その激戦を勝ち抜いてこそ」というが、選手側にしてみてば本当に予断を許さない椅子取りゲームになる。では、同じトップクラスのいる他地区と比べた場合、他地区の選手は少数であるが故に実力差が明確で、力のある選手が取りこぼすことも少ない。

659820333879.jpg
日本女子アマチュア界をリードする彼女は九州ブロック
25896147896359.jpg
関東?!日本?!そうは言っても同世代の頂上にいるのは・・・ニュージーランド地区か(笑)

似たような話はサッカーのワールドカップを見ても分かる。強豪国の少ないアジア地区において本戦出場枠4.5の中で日本、韓国、豪州がアジア地区予選を取りこぼす可能性は極めて低い。同じ4.5枠で優勝候補がいる南米地区もブラジル、アルゼンチンが取りこぼすとは思えない。しかし、最も層の厚い欧州はどうだろうか?出場枠は13もあるが常連国や強豪国が本戦出場を逃すことが頻繁に起こる。「死の組」などいう組み合わせで競合同士が潰し合い、それでも本戦出場にこぎつけた前回優勝国が本大会では1次リーグ敗退などというケースも珍しくなくっている。実際に2002年はフランスが、2010年はイタリア、2014年スペインと欧州勢で前回優勝国と望んだ本大会では1994のアメリカワールドカップ時のドイツを最後に100%の確率で1次リーグ敗退している。地区予選に至ってもアジアを勝ち上がってくる日本の5大会連続出場より多い連続出場国は欧州ではドイツ、スペイン、イタリアの3カ国のみ、こうなると出場枠が多くても欧州自体が「死の組」ならぬ「死の地区」という見方もできる。

522014879654.jpg
層の厚さは「死の組」を作り、選手を絶望させようとする

日本のゴルフの歴史においても「黄金世代」的な時期は何度もあった。アメリカで賞金女王になった岡本綾子プロは当初アメリカに行った理由を「みんなと違う目線でゴルフがしたかっただけ」と語っているし、日本人初の米ツアー優勝の青木功プロは「日本より賞金多かったから・・・」、同じく米ツアー3勝をあげた丸山茂樹プロは記者の「これで日本ゴルフレベルもアメリカに近づきましたね!」のセリフに「冗談じゃない!これは俺一人の力だ!」と言い切った。今田竜二に至っては日本の層での競争すらしていない。つまり「世界は日本の層とは全く関係のないところで動いている」と考えても過言ではないと思う。

「厚い層に揉まれて」という考え方もある。しかし、それは強化論的には「負荷をかけることで反発力をつける」というアイソメトリック効果のようなもので、負荷ばかりかけていたら自信喪失や故障につながる可能性も高い。

甲子園に代表される野球でも「一度負けたら終わり」というシステムで選手たちは予断を許さないプレッシャーの中でプレーしている。見ている側にすれば、その緊張感が興奮を誘い、楽しめて感動的な結末になるかもしれないが。将来、プロでやろうとする選手たちにすれば、たまったものではないと思う。無理をして故障したら取り返しのつかないことになる。しかもプロならば契約金もあれば年俸もある。仕事である以上、多少の無理をしてでも戦うことも必要だ。しかし、あくまでもアマチュアであり、将来ある若者なのだ。それをそんなに極限まで追い込むような行為がスポーツと呼べるのだろうか?今は投手の投球数も制限したというが、MLBのフィジカルトレーナー目線での見解は未だに「クレイジー・・・」だった。実際、数十年前に「僕は将来プロでやる、こんなところで消耗されたくない。」と考えて、手を抜いていた超大物投手がいた(笑)

523789654789.jpg
海外はコンテンツを増やすことで層の厚さに対応する。選手を本当大切にしている

選手を育てるには「緊張感」と「楽しむ」のバランスが重要だ。やがてはこの二つが融合して「緊張を楽しむ」というプレーヤーに成長すると、観客が驚くようなスーパープレーと惹きつけられる魅力を出すようになってくると思う。それがプロでありスーパースターと呼ばれる存在だ。実際、数年前に日本のゴルフ界に登場したスーパースターは、日本ジュニアこそ制したが、日本アマはクオリファイできなかった。全国高校ゴルフ選手権でも目立った成績は上げていない。しかし、プロ転向してからは「程よい緊張」と「空に昇るような楽しさ」で一気に賞金王に上り詰めた。

9977888885624561.jpg
まだ、層が厚くないうちに一気に登りつめた。というより彼が層を厚くした張本人?!

「層の厚さ」は必ずしもレベル向上にはつながらないと思う。多くのプロを育てたカリスマ指導者であるY氏は「あまりに競争が激しすぎて、プロテスト合格で力尽きてしまう子が増えている」と私に語ってくれた。

さらに言えることだが、ゴルフ先進国であるアメリカも確かに層は厚い。しかし、アメリカの場合は層の厚さに見合うだけの幅があるのだ。つまり、選択肢がいくつもあり、単一のコンテンツに同じタイプのプレーヤーが殺到するようなことはないのだ。「海外にでること」でも書いたように、ピラミッドのサイズが違いすぎる。そう言った意味では日本の場合は「選手の層だけが厚くなり、その受け皿となるコンテンツのピラミッドが成長できない」という問題点を何十年も抱えているのも事実だし、これはゴルフに限ったことではないが「人数の増加」=「層の厚さ(狭き門)」=「レベルアップ」という短絡的なコンテンツ形成になっているのではないか?北アイルランドは日本の1%程度の人口で、気候も経済環境も日本と比較して厳しいものだ。そんな国のゴルフの層が日本より厚いとは思えない。しかし、Rマキロイ、Dクラーク、Gマクダウェルと3人ものメジャーチャンピオンを輩出している。今、世界のゴルフ界を席巻している韓国のジュニアゴルフ人口は日本の約10分の1。日本より層が厚いだろうか?

8887776128975354.jpg
全米ジュニアを制したプリンセスの母国、フィリピンは層が厚い?全米ジュニアは日本ジュニアより格下?

グローバルな視野で見ると日本の層の厚さは「海外からの腕試しとスポット強化」という目的には適しているように思える。実際、今年の日本アマチュア選手権は100回記念大会ということで、地区アマ選手権以外に特別予選会枠が設けられて海外からの選手が多く参加していた。しかし、強化という観点に立つと・・・

「層の厚い壁」を避けろとまでは言わないが、厚すぎる壁にぶつかるだけで強くなるとも思えない。まだ、世界の頂点の一枠を争うわけではなく、頂点へのルートを模索しているのだから、わざわざ滑り落ちる危険度の高い絶壁ばかりこだわって登ろうとするのも・・・
同じ高さの山を登る時に、頂上が見えない険しいルートと頂上が見えるルート、あなたならどちらを選びますか?
Facebookでも最新情報を公開
来場者数
カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
メール問い合わせ
ジュニア育成、他ゴルフに関しての質問等いつでもどうぞ!

名前:
メール:
件名:
本文:

協力関係
プロフィール

SEIICHIROH INOUE

Author:SEIICHIROH INOUE
FC2ブログへようこそ!

最新コメント
最新トラックバック
リンク
リンク用バーナー
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR